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コラム

コラム:バイデン氏が上げすぎた赤字削減目標、与野党の協議困難に

[ニューヨーク 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - バイデン米大統領は、「要求水準」をもっと下げるべきだったのではないか。

3月9日、バイデン米大統領(写真)は、「要求水準」をもっと下げるべきだったのではないか。写真は同日、フィラデルフィアで撮影(2023年 ロイター/Evelyn Hockstein)

ホワイトハウスは9日に発表した予算教書で、企業と富裕層への課税強化を通じて、財政赤字を向こう10年で3兆ドル近く減らす方針を示した。だが議会下院を握る野党共和党はそうした話に決して乗ってこないだろう。もう少し目標が控えめな提案なら、共和党を交渉の場に引き出せたかもしれない。

バイデン氏の思い切った赤字削減案は、歳入の増加を当てにしている部分が非常に大きい。今回の提案では、企業の自社株買いに対する税率は一気に4倍の4%になり、100万ドルを超える所得層のキャピタルゲインへの税率も2倍弱の39.6%に上がる。一方保守派議員は、増税は既に高まっている景気後退(リセッション)の確率を一層引き上げるだけで、歳出削減こそ望ましいと主張している。

そこでもしバイデン氏が、ある程度の歳出削減を盛り込んだ予算案を提示していれば、共和党は協議に応じざるを得なかったかもしれない。2023会計年度(22年10月-23年9月)における国防、教育、住宅などの予算プログラムで構成される裁量的な歳出は1兆6000億ドルを超えている。その一部の圧縮とある程度の増税がセットになっていたら、共和党は一蹴するのが難しくなっただろう。

特に今は議会にとって時間が貴重なだけに、不可能な要求をするのは無益といえる。この夏のどこかで、連邦政府の債務が法定上限に達するとみられるからだ。債務上限の引き上げ、もしくは上限執行停止について与野党の合意が成立しないと、米国はデフォルト(債務不履行)に陥り、経済がかつてないほど悪化しかねない。共和党も与党民主党も、債務上限問題で合意に達するには、自分たちの予算案を通すことが出発点になるとの姿勢を打ち出している。

確かにこうした財政を巡る与野党のあつれきと審議停滞を引き起こしたのはバイデン氏ではなく、本来仲介の労を執るべき筋合いでもない。ただ今回に限って言えば、バイデン氏が赤字削減目標を下げていれば、与野党の交渉を加速させて、結果として自身の希望リストの少なくとも幾つかの項目は実現できた可能性がある。

●背景となるニュース

*バイデン米政権は9日に発表した予算教書で、財政赤字を向こう10年で3兆ドル近く削減する方針を明らかにした。財源は主として富裕層と企業への課税強化で賄う。

*米議会予算局(CBO)によると、連邦政府の債務水準は7月から9月の間に法定上限に達する見込み。上限引き上げないし上限の執行停止の措置がなされないと、連邦政府がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れが出てくる。

*バイデン大統領は1月31日、与野党はそれぞれの予算提案を詳しく吟味した後で、債務上限引き上げ協議を進展させることができるとの考えを示していた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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