[ランシング(米ミシガン州)/ウィルミントン 14日 ロイター] - 米国の次期大統領を正式に選出する手続きである選挙人投票が14日、州ごとに実施され、民主党のバイデン前副大統領が当選に必要な過半数を確保した。
バイデン氏は自身の勝利の正当性に疑義を唱え続けるトランプ大統領を非難した。
バイデン氏は同日夜に演説し、「米国の魂のための闘いで民主主義が勝利した」と強調。トランプ大統領の時代から「ページをめくり、結束し癒やしを得る時が来た」と訴えた。
選挙人投票は通常なら形式的な手続きだが、今回はトランプ氏が11月3日の大統領選での大規模な不正を根拠なく主張したことで異例の注目を集めた。
一部のトランプ氏支持者は抗議デモを呼び掛け、当局者は暴力行為の可能性に懸念を示していたが、選挙人投票は目立った混乱なく円滑に行われた。
バイデン氏はカリフォルニア州の選挙人55人全員の票を得たことで、当選に必要な270人を上回った。11月の選挙でバイデン氏は306人の選挙人、トランプ氏は232人を獲得した。
バイデン氏は演説で、トランプ氏の選挙結果を覆す試みにもかかわらず、民主制度は持ちこたえたとの認識を表明。「民主主義の炎はこの国ではるか昔に灯された。(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)や権力乱用もこの炎を消すことはできないことが分かった」と述べた。
トランプ氏とその側近らは集計結果について「何十件もの」法的闘争を仕掛けたが成功しなかったと指摘。また、選挙人獲得数306対232という差は、トランプ氏が民主党のクリントン候補に勝利した2016年大統領選の結果と同じで、当時、トランプ氏は「地滑り的勝利」と評していたと指摘した。
16年の選挙でトランプ氏は得票数でクリントン氏を約300万票下回ったが、今回、バイデン氏は得票数でも700万票以上の差を付けて勝利した。
トランプ氏は、選挙結果に異議を唱える法廷闘争も不調となる中、この日の選挙人投票の結果を来年1月6日の特別会議で承認しないよう議会を説得することにわずかな望みをかけるが、失敗に終わるのがほぼ確実とみられる。
連邦法では、連邦議会の議員は1月6日の会議で特定の州の選挙人数に異議を唱えることができる。その場合、上院、下院がそれぞれ審議を行い、採決で過半数の支持を得る必要がある。
民主党が過半数を握る下院はそうした異論を退けることが確実視される。共和党の有力上院議員も14日、結果を覆す案に否定的な考えを示した。
トランプ氏は11月下旬、選挙人の投票でバイデン氏の勝利が確定すればホワイトハウスを去ると述べたが、その後も敗北を認める姿勢はほとんど見せていない。
14日もツイッターに「大規模な不正投票を発見した激戦州は、厳重に処罰すべき罪を犯さずに票を完全かつ正確なものとして合法的に認定することはできない」などと書き込み、根拠を示さずに不正の主張を繰り返した。
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