July 16, 2020 / 4:45 AM / 18 days ago

コラム:バイデン氏、欠点抱える温暖化対策ではじく「勝算」

[ニューヨーク/サンフランシスコ 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米大統領選で事実上、野党・民主党候補になったバイデン前副大統領は、米国をより環境志向の強い持続的な社会にするための提案を大盤振る舞い的に打ち出した。14日に公表した、今後4年間でクリーンエネルギーとインフラ整備に2兆ドルを投じるという政策案には、大統領候補指名を争った左派のバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員らの構想が盛り込まれている。さらに11月の本選で対決するはずのトランプ大統領の十八番である、米国の雇用と製造業を守るという主張まで拝借した。だがバイデン氏のこの総花的な地球温暖化対策には、何点かの肝心の要素が欠けている。

7月15日、米大統領選で事実上、野党・民主党候補になったバイデン前副大統領(写真)は、米国をより環境志向の強い持続的な社会にするための提案を大盤振る舞い的に打ち出した。デラウェア州ウィルミントンでの選挙集会で14日撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

2016年の大統領選で、民主党候補だったヒラリー・クリントン氏はペンシルベニア、オハイオ、ミシガン各州にまたがる「ラストベルト(さびついた工業地帯)」、つまり労組や白人男性有権者の動向が鍵を握る地域で敗北した。そして今、新型コロナウイルスのパンデミックがラストベルトに経済的な打撃をもたらしたことから、バイデン氏は11月の本選で票を取り返せる見込みが出てきている。例えばリアルクリアポリティクスの世論調査を平均すると、ペンシルベニアではバイデン氏の支持率がトランプ氏を8%ポイント近く上回る。同州の5月の失業率は13.1%で、全米の水準よりやや低いだけだ。

この状況はバイデン氏にとってチャンスであると同時に、全面的な温暖化対策を推進する上では制約になってしまう。同氏の政策案には数百万人規模の雇用創出のためのさまざまな約束がちりばめられ、自動車や建設から農業に至る各種産業において気候変動問題と雇用の双方にプラスとなるような連邦政府の支援も盛り込まれた。しかし複数の重要な課題には全く立ち入っていない。使用されていない油井の廃棄以外には、大量の温室効果ガスを排出する化石燃料業界と、この業界に依存する雇用がどうなるのかの言及は見当たらない。

バイデン氏の政策案は、幾つかの面でトランプ氏と好対照をなしている。バイデン氏側は、温室効果ガス排出への対応がより差し迫った問題になっていると認め、政策案がもたらす恩恵の40%を経済的、社会的に不遇なコミュニティーに振り向けると約束する。またトランプ氏と異なり、石炭など衰退の一途をたどる産業のテコ入れはせず、規制撤廃の意向も示していない。片やトランプ氏は15日、パイプラインや電力関連のプロジェクトの許認可を加速させた。

それでもバイデン氏の政策案には抜け落ちている部分がある。詳細な内容が明らかにされず-これは政治公約として異例なことではないが-、また欠点を持っている。政策実現のために必要な資金の出し手である民間投資家に対し、直接のアピールを何もしていないのだ。

その上、米国の一部地域では雇用を生み出すが別の場所では環境に悪影響を及ぼすと懸念されているフラッキング(石油・ガス掘削で用いる水圧破砕法)についての沈黙は非常に目立つ。この秋の選挙戦がトランプ氏と大接戦になるとすれば、これらの問題を避けて通るのは難しくなる。ただバイデン氏は、多少なりの温暖化対策を提唱するだけでも、化石燃料一辺倒のトランプ氏よりも優位に立てるとの計算を働かせているようだ。

●背景となるニュース

*バイデン氏は14日、大統領選に向けて発表した政策案で、持続可能なインフラ整備とクリーンエネルギー利用の取り組みに4年間で2兆ドルを投じる方針を示した。人口10万人以上の全ての都市の住民が温室効果ガス排出ゼロの公共交通機関を利用できるようにすることなどが含まれている。[nL3N2EL4GJ]

*バイデン氏は15年間で電力部門の温室効果ガス排出量をゼロにするとともに、住宅建設や農業、自動車産業の脱化石燃料化も促進する。こうした政策がもたらす恩恵の40%を経済的・社会的に不遇なコミュニティーに提供するという。

*民主党は8月の党大会でバイデン氏を正式に大統領候補に指名する予定。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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