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アングル:米国で増殖するビットコインATM、手軽さが人気

[15日 ロイター] - 米モンタナ州のたばこ屋で、ノースカロライナ州やサウスカロライナ州のガソリンスタンドで、そしてニューヨーク市のあちこちのデリ(総菜・食料品店)でも最近、新しい機械がお目見えした。明るく光るビットコインのATM(現金自動預け払い機)だ。顧客はこのATMでデジタル通貨を売買できるほか、時には現金を引き出すこともある。

 3月15日、米モンタナ州のたばこ屋で、ノースカロライナ州やサウスカロライナ州のガソリンスタンドで、そしてニューヨーク市のあちこちのデリ(総菜・食料品店)でも最近、新しい機械がお目見えした。明るく光るビットコインのATM(現金自動預け払い機)だ。写真はニュージャージー州ローレンスビルで9日撮影(2021年 ロイター/Suzanne Barlyn)

この1年間、全米でビットコインのATMが急速に増殖した。暗号資産(仮想通貨)の取引が白熱し、ビットコイン価格が5万8000ドル超えまで急騰したことが背景にある。

コインフリップやコイン・クラウドといったATM運営企業はそれぞれ、これまでに数千台のATMを設置した。幹部らは、ライバル社にまだATMを設置されていない地域を探し回っているとロイターに語った。

「需要はあるし、人々はあらゆる場所でビットコインを求めているだろうと思った」と話すのは、ビットコインATM運営企業、クアッド・コイン創業者のマーク・ショイケットさん。彼は米国地図で未開拓の場所をつぶしていった結果、モンタナ州へと飛んだ。

そこで1週間、旅する道すがら、ATMを設置したい場所を7カ所特定。その1つが同州ビリングスにあるたばこ屋「406グラス」だ。この店では、たばこのほかに電子たばこ用リキッド、色とりどりのガラス製のパイプが売られている。

独立系の調査サイト、ハウメニービットコインATM・ドット・コムによると、米国のビットコインATM設置台数は今年1月時点で2万8185台に上る。うち約1万台は、それまでの5カ月間に設置された。

設置拡大を促している一番の原動力は、ビットコインの人気拡大にある。

人々がオンライン取引ではなくATMの利用を選ぶ動機は、現金を引き出すため、あるいは銀行口座を持っていないため、あるいは海外送金手段、あるいは匿名性を望むためなど、多岐にわたる。実物の機械を使う方が安心だから、という人もいる。

ペンシルベニア州ピッツバーグ地域に住むビットコイン投資家のレベッカ・ホワイトさん(51)は、額の大きい投資はオンラインで行い、家計に少し余裕ができた時は、ビットコインATMを使って投資に回す。

「私たち家族は、生鮮食品を買いに行って手元に60ドル残った時などにビットコインATMに立ち寄る」と話す。

こうしたATMの中には、ビットコインしか扱わないタイプもあれば、さまざまなデジタル通貨への投資が可能な機種もある。実際に現金を引き出せるビットコインATMは非常に少なく、通常のATMやオンライン取引よりも手数料は高い。

仮想通貨の法令順守サービスを手掛けるサイファートレースの金融調査・教育責任者、パメラ・クレッグさんによると、手数料率は地域やATM運営企業によって6%から20%まで幅がある。

クレッグさんは、ビットコインATM市場の拡大ぶりは「目を見張るほどだ」と語る。

複数の政府機関は、一部ビットコインATMの手数料の高さと、違法行為に利用される可能性に警鐘を鳴らしている。ニュージャージー州調査委員会は2月、「暗号通貨キオスク(ATM)における詐欺、疑わしい取引、問題のある慣行」と題する報告書を公表し、具体的な懸念を詳述した。

それでもビットコインATM産業の拡大は止まらない。

<全米にくまなく設置>

コインATMレーダーが提供するオンライン上の地図によると、今ではアラスカ州を除き、首都ワシントンや全ての州にビットコインATMがある。ロイター記者の取材によると、最近もノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ペンシルベニア州農村地域、ニュージャージー州とニューヨーク市のそれぞれの郊外で、ガソリンスタンド、店舗、レストランなどに新たなATMが設置された。

コイン・クラウドのクリス・マカラリー最高経営責任者(CEO)によると、同社は全米にビットコインATMを1470台設置済みで、年末までに1万台に増やす計画だ。コロナ禍による悪影響を懸念していたが、実際にはロックダウン(封鎖措置)中も利用が増えたという。

「新型コロナウイルスの直撃で最悪の事態を予想したが、景気刺激策による現金給付が結構な追い風になった。給付金を受け取ってデジタル通貨を買う人々がいた」と説明する。

同業のコインフリップのダニエル・ポロトスキーCEOによると、同社は昨年ATMを420台前後から1800台まで増やした。1台当たりの取引高も昨年、約3倍に急増した。「銀行口座を持っていないか、持っていても使いたくない人々がいる」と語る。

CEOによると、コインフリップが顧客に課す手数料は、暗号資産の買いが6.99%、売りが4.99%だ。

同業ビットコイン・デポのブランドン・ミンツCEOによると、顧客の大半は25歳から40歳で、ネットでATMを探してやって来る。

ビットコインATMメーカーのジェネラル・バイツは昨夏、需要が急増して一時的に在庫切れを起こした。創業者によると、昨年の販売台数は3000台で、うち90%が北米に設置された。

ただ、全てのこうしたATMに行列ができるわけではない。

クアッド・コインのショイケットさんは、昨年設置した200台のうち幾つかについて、半年以内に利益が出なかったため撤去した。

ロイターの記者がニューヨーク市のレストランを取材した際には、従業員がビットコインATMの仕組みを説明するため、外していたプラグをコンセントに差し込み直す必要があった。

サウスダコタ州の自動車博物館「パイオニア・オート・ミュージアム」には5カ月前、コイン・クラウドのビットコインATMが設置されたが、オーナーのビビアン・ソンダーさんによると、これまでにATMを利用するために立ち寄った人は、移動中のトラック運転手の何人かだけだった。

ソンダーさんによると、コイン・クラウドからはATMの設置料として月200ドルが支払われている。また、同社は140マイル(約224キロ)離れた場所から定期的に保守点検スタッフを送ってくる。

「どうしてここに置きたいのか理解に苦しんだ。住民が500人に満たない町だし、この博物館を訪れる人は、大体季節が限られるのに」とソンダー氏は首をかしげた。

(Imani Moise記者 Anna Irrera記者)

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