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コラム

コラム:暗号資産「荒野のフロンティア」、米ワイオミング州

(本文2、3段落目と「背景となるニュース」にある社名「クラケン」を「クラーケン」に修正しました)

 7月7日、米国の暗号資産(仮想通貨)ビジネスが「西部の荒野」、ワイオミング州に進出した。写真はビットコインのイメージ。6月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

[ワシントン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国の暗号資産(仮想通貨)ビジネスが「西部の荒野」、ワイオミング州に進出した。カウボーイで知られる同州は米連邦準備理事会(FRB)などの米規制当局に先駆け、金融関係のルールを改定して暗号資産ビットコインを扱う新興企業を誘致している。しかし「ビットコイン銀行」の許認可は未踏の領域。同州は暗号資産初のロデオ大会開催地となる。   

ワイオミング州は石炭、石油、天然ガスといった旧来の産業から脱却し、経済を多角化しようと取り組んでいる。2019年にはデジタル資産を主に扱う銀行、「特別目的預金機関」の設立許可制度を導入。これまでにビットコイン取引プラットフォームのクラーケン・バンクとワイオミング・デポジット&トランスファーを含む3社の申請を認可した。後者を認可したのは先月だ。

この制度では、2つの部分から成る銀行構造を認めている。1つは顧客が現金を預けられる伝統的な銀行の部分。もう1つがビットコイン部分であり、顧客は暗号資産の預金と送金を行える。こうしたビットコインをクラーケンのプラットフォームで取引することも可能で、利益が出た場合には、米ドルに転換した上でその銀行に預金することができる。

このため顧客はJPモルガンのような「仲介業者」を通さず、それに伴う追加手数料も払わずに、ドルに転換したビットコインを円滑に口座に入れることができる。ワイオミング州の制度では、銀行にビットコインの「秘密鍵」を保有する権利も与えている。秘密鍵とは、ビットコインの所有者が自らのデジタル資産にアクセスできる独自のコードだ。

問題は、こうした銀行自体が伝統的な銀行のように本格的な保護措置で守られていない点にある。暗号資産を扱うという性質上、法定通貨預金は米連邦預金保険公社(FDIC)の保証を受けていない。つまり銀行は、法定通貨預金を100%カバーできる流動性資産を保有する必要がある。

しかも、通常の銀行がFRBから受けるような特権を享受できるかどうかも定かでない。通常の銀行はFRBに安全に資金を預けることができるだけでなく、効率的な送金も可能だ。

ワイオミング州当局は設立許可制度に則ってネットワークの安全性を点検するはずだが、デジタル通貨市場には不測の課題が待ち受けているだろう。

例えば、通常の銀行であれば顧客の社会保障番号を保管しており、複数の手順を踏まなければ口座から資金を引き出せない。そうした仕組みのない新興銀行で、ハッカーがビットコインのコードを盗んで預金者の口座を空っぽにするといった事態が起こることは、想像に難くない。

米政府はこの問題についてまだ、体制を整えていない。暗号資産の通貨としての側面をどの政府機関が監督するかを巡り、論争を続けている状態だ。ワイオミング州は「デジタル通貨市場のジョン・ウェイン」という異例の役回りを引き受けた格好だが、このように開拓精神を持つ者がいなければ事は前に進まない。

●背景となるニュース

*ワイオミング州のクラーケン・バンクは、米国の州から銀行事業認可を受けた初のデジタル通貨企業となった。今年下半期にサービスを開始したい意向。カンザスシティー地区連銀にFRBの当座預金と決済システムへのアクセスを申請し、回答を待っている。

*ワイオミング州は2019年に規則を改定し、「特別目的預金機関」という新種の銀行設立許可制度を導入した。主にデジタル通貨を扱う企業が申請可能。許可書では、認可機関に法定通貨預金を100%カバーできる準備金を保有することを義務付け、原則として顧客の法定通貨預金を用いた融資を禁じている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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