April 20, 2019 / 1:53 AM / 3 months ago

コラム:米ブラックロック、中国ではなぜ小粒企業を選好か

[香港 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国政府は資産運用業で外資の出資を初めて認め、業界の対外開放に取り組んでいるが、資産運用業は前途が洋々としているため売りに出される案件の数は限られそうだ。

 4月16日、米ブラックロックが中国で目を付けた標的は小規模ながら、事業免許を備えた優良物件。ブラックロックの計画が成功すれば、「中国で資産運用事業を買収するなら小粒が狙い目」と他社が追随するだろう。 ニューヨークで2017年撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

ただ、米ブラックロック(BLK.N)が目を付けた標的は小規模ながら、事業免許を備えた優良物件。ブラックロックの計画が成功すれば、「中国で資産運用事業を買収するなら小粒が狙い目」と他社が追随するだろう。

中国の規制当局は昨年、金融市場の対外開放政策の一環として資産運用業の外資出資上限を49%から51%に引き上げ、3年後に規制を全廃する方針を明らかにした。ブラックロックのような海外の資産運用会社にとってはじれったい進め方で、英紙フィナンシャル・タイムズによるとブラックロックは中国の大手投資銀行、中国国際金融(CICC)の資産運用部門CICCファンド・マネジメントの過半数株を取得する方向で話し合いを行った。デロイトによると、中国の資産運用市場の規模は今年、英国を抜いて米国に次ぐ世界第2位となり、2030年までに17兆1000億ドルに達する見通しだ。

しかし絶好調が見込まれるこの業界で事業がどんどん売りに出されるとは考えにくい。中国の資産運用市場は生まれてから日が浅い。ディーロジックによると上場企業は15社にすぎず、身売りなどあり得ない。嘉實基金管理(ハーベスト)のような民間大手は外国企業に身売りするのではなく、市場で資本を調達して成長機会を捉えようとするだろう。合弁事業の提携先が持ち分を手放すかどうかも不透明で、金融商品を販売するリテール網を持つ大手銀行と組んでいる場合はなおさらだ。ブラックロックが中国銀行(601988.SS) (3988.HK)との合弁事業以外で買収の対象を模索したのも、そのためかもしれない。

つまりブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)にとって、バークレイズ・グローバル・インベスターズ(BGI)やメリルリンチ・インベストメント・マネージャーズなど大型の資産運用事業の買収を、中国で再現するのは難しいということだ。

しかし中国の小規模な資産運用会社は買収提案に食いつく心づもりがあるかもしれず、業界でも小粒な企業を標的にすれば期待が持てそうだ。

CICCファンド・マネジメントはこうした狙いにぴたりとはまる。創業は2014年。運用資産は30億ドルで、6兆ドル近いブラックロックからすればほんのわずかだが、事業免許を完全に備え、リテール銀行も無関係。しかもフィンク氏が株式を売るよう説得しなければならない株主はCICCのみだ。CICCには管理職を対象としたストックオプション制度があり、定年が近づいた経営幹部は持ち株を手放したいと思っているかもしれない。

この案件がうまく行けば、ブラックロックのライバルたちが中国で小規模な資産運用会社を手に入れようと動くだろう。

●背景となるニュース

・8日の英紙フィナンシャル・タイムズは関係者の話として、米資産運用大手ブラックロックが中国の大手投資銀行、中国国際金融(CICC)傘下の資産運用会社CICCファンド・マネジメントとの間で、同社の過半数株式の取得について協議していると報じた。ブラックロックは他の中国企業数社とも話し合いの場を持ったという。

・ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は8日、毎年恒例となっている株主への書簡で、資産運用業界は事業買収を伴わない向こう5年間の成長の50%をアジアが担い、中国がこうした流れを主導するとの見通しを示した。中国はより多様で長期の投資商品への需要が高まっていると指摘。「中国の資産運用業界で最大規模となるのが目標だ」と述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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