[ボストン/ロンドン18日 ロイター] - 世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は投資先企業に書簡を送り、社会的な利益も重視する同社の姿勢を改めて強調した。
資産運用会社は、労働力の多様性や温暖化対策を重視する投資家からの資金を集めるため、ESG(環境・社会・企業統治)の観点から企業の業績を分析する傾向が高まっている。
フィンク氏は、17日遅くに公開した「資本主義の力」と題した書簡で投資先の最高経営責任者(CEO)に対して、企業と結び付いている全てのものに役立つ企業行動を目指す「ステークホルダー(利害関係者)資本主義」の推進を呼び掛けた。
「ステークホルダー資本主義は政治的なものではない」と指摘。「woke」ではなく、社会的、イデオロギー的な問題でもなく、従業員、顧客、サプライヤー、コミュニティが相互に利益を与える関係に基づく資本主義だと説明した。
その上で、ステークホルダー資本主義の調査や対話を行うためのフォーラムを立ち上げる考えを明らかにした。「ステークホルダー資本主義センター」は企業と利害関係者の関係を探るのに寄与すると説明した。
企業は「気候警察」になることはできず、政府と協力すべきと述べ、企業に関与するブラックロックの方針を擁護した。
炭素集約型資産を売却するだけでは世界の温暖化ガス排出量を実質ゼロにすることはできないとし、石油・ガス会社から投資を引き揚げる方針は取らないと述べた。
またブラックロックは、投資家がテクノロジーを使って委任状投票を行うための取り組みを強化していると述べた。
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