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アングル:日本の「ブロックチェーン」技術者不足 業務効率化の壁
August 19, 2016 / 5:16 AM / a year ago

アングル:日本の「ブロックチェーン」技術者不足 業務効率化の壁

[東京 19日 ロイター] - 金融業務を抜本的に改善するとされる「ブロックチェーン」技術の開発をめぐり、日本が国際競争に立ち遅れるとの懸念が高まっている。足かせになっているのは、日本国内での技術者不足だ。欧米などに比べ、日本は先端技術の人材供給源となるベンチャー企業の数が少なく、資本力も弱い。

 8月19日、金融業務を抜本的に改善するとされる「ブロックチェーン」技術の開発をめぐり、日本が国際競争に立ち遅れるとの懸念が高まっている。写真は都内で2014年5月撮影(2016年 ロイター/Yuya Snino)

技術者養成に向け、業界レベルの取り組みは動き出しているものの、「状況は簡単には変わらない」との厳しい声も出ている。

仮想通貨ビットコインなどの基盤技術であるブロックチェーンは、金融業務のあり方を変え、大きなコスト削減をもたらすとされる。同技術によってデータをオープンかつ安全に共有できれば、これまで何段階もの人的作業によって行われていた取引を大幅に削減することが可能。コンサルタント会社のアクセンチュアは、ブロックチェーンの普及によって、世界の金融機関は2021年までに年間の業務コストを200億ドル以上減らすことができると予想する。

<鍵握るベンチャー企業の数と資金力>

ブロックチェーンが持つ潜在力をにらみ、欧米など各国の銀行、証券会社、保険各社には、ソースコード開発などへの投資や実用化を進める動きが一気に広がっている。ブームを加速させているのは、ロンドン、ニューヨーク、トロントなど国際的な金融センターで増加しているベンチャー企業で、急増する金融機関からの人材ニーズに応える供給源になっている。

「銀行のコスト構造に大きなパラダイムシフトが起きるだろう」と、大阪に本社があるブロックチェーン企業、テックビューローの朝山貴生CEOは予想する。ブロックチェーンが導入されれば、消費者が銀行に支払う手数料や金融機関同士の取引コストを安く抑えることができる。同時に、取引に必要なインフラ構築にかける費用も安くなるとみられている。

日本の金融機関もブロックチェーンによる業務効率化に大きな期待を寄せているが、そこで壁になっているのが、国内の技術者不足だ。「ブロックチェーン技術者を採用するのは難しい。とにかく人材が不足している」と、金融機関向けIT人材の仲介会社、デカルトサーチ合同会社のアモニック・パスカル・ヒデキ代表社員は言う。同氏によると、日本国内のブロックチェーン技術者職の候補者数は平均すると、他のソフトウエア職種の5分の1にとどまっている。

「いま、日本には技術者が全くいない」と語るのは、ブロックチェーン開発企業であるコンセンサス・ベースの志茂博氏。同社は志茂氏が昨年設立、社員は同氏ひとりだが、大和証券グループがブロックチェーンのソフト開発に採用した。大手IT企業などでブロックチェーンを開発できる人材は一人もいない、と同氏は指摘する。

ブロックチェーンの専門家不足だけでなく、日本では金融産業の技術革新を担うフィンテック(フィナンシャル・テクノロジー)関連の新興企業の数についても、欧米の後塵を拝している。ジャパンベンチャーリサーチに登録されている日本のフィンテック新興企業数は167社。一方、ベンチャーキャピタルのデータベース、CBインサイツによると、米国の企業数はその20倍の3300社に上る。

フィンテック企業カレンシーポートの杉井靖典CEOによると、日本にあるブロックチェーン関連ベンチャーはおよそ20社にとどまっているのに対し、米国では130社を超えている。またCBインサイツのデータによると、日本のブロックチェーン関連の新興企業は2014年以降、10件のディールを通じて6600万ドルを調達したが、世界全体の合計377ディール、12億ドルという調達額をみると、日本の出遅れ感は否めない。

    <大手金融機関、ベンチャーと異例のタッグ>

    一方、日本で新たな動きも出始めている。コンセンサス・ベイスは6月、大和証券グループの委託を受けて開発したソフトウエアについて、3カ月のテストに入った。このソフトは、大和が一部出資しているミャンマーのヤンゴン証券取引所で取引処理に使う予定だ。コンセンサスコンセンサス・ベイスと手を組んだ理由について、ソフトウエアのテストを監督する大和総研の伊藤慶昭氏は「ベンチャー企業はコア技術を最もよく理解している」と話す。

    大和とコンセンサス・ベイスの提携は異例の動きと言える。テックビューロの朝山貴生CEOの話によると、厳格なコンプライアンス(法令順守)ルールがあるため、日本の金融機関は新興企業と組むことをためらう傾向にある。例えば、みずほフィナンシャルグループ(8411.T)やオリックス(8591.T)など他の金融サービス会社はブロックチェーンをめぐって、それぞれ富士通(6702.T)、NTTデータ(9613.T)という大手IT企業と協力している。

    大手とベンチャーの提携に加え、人材育成への新たな取り組みも出始めている。日本のブロックチェーン推進協会は米カリフォルニアにある「ブロックチェーン・ユニバーシティー」の教育メソッドを取り入れ、今月17日にアジアで初となる専門コースとして「ブロックチェーン大学校」をオープンした。こうした動きが広がれば、将来的には、日本においてもブロックチェーン技術者の数は増え、IT企業や金融機関は人材の獲得が容易になるとの期待も少なくない。

    しかし、状況は一夜では変わらないと、ビットコイン取引所ビットフライヤーの加納裕三CEOは言う。ブロックチェーンは複雑、かつあまり知られていない技術であり、スキルのある技術者が安定的に供給されるようになるまでには時間がかかる。自身もブロックチェーン専門家の確保に苦労したという同氏は、「ブロックチェーンとは、数カ月でマスターできるようなものではない」と話している。

    トム・ウィルソン 翻訳編集:北松克朗

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