Reuters logo
ブログ:銃痕とやけどが語るロヒンギャ難民の苦難
November 22, 2017 / 7:29 AM / in 20 days

ブログ:銃痕とやけどが語るロヒンギャ難民の苦難

Jorge Silva

 11月20日、イスラム系少数民族ロヒンギャ族の兄弟、モハメド・ヘロン君(6)とアクテル君(4)は、お互いにつかまりながら、腕や体に負ったやけどを見せてくれた。バングラデシュ・コックスバザールで10月撮影(2017年 ロイター/Jorge Silva)

[コックスバザール(バングラデシュ) 20日 ロイター] - イスラム系少数民族ロヒンギャ族の兄弟、モハメド・ヘロン君(6)とアクテル君(4)は、お互いにつかまりながら、腕や体に負ったやけどを見せてくれた。

2人のおじ、モハメド・イヌスさんの話では、ミャンマー軍が彼らの村にロケット砲を発射したときに負ったのだという。

モハメド君とアクテル君には他に、7歳と生後10カ月のきょうだいがいたが、ミャンマー軍の攻撃で命を落としたと、イヌスさんは話す。彼らの父親は軍に拘束され、それから全く音沙汰がないという。

「村にロケット砲が撃ち込まれた時、この2人の子どもたちは助かった」と、バングラデシュのコックスバザールに近いクトゥパロン難民キャンプでイヌスさんはロイターに語った。

この2人の少年は、自身が負った傷をロイターのカメラマンに見せてくれた多くのロヒンギャ難民の一部である。カメラマンはクトゥパロンの他に、近隣のバルカリ、レダ、ナヤパラの難民キャンプも訪れた。

焦土と化した自宅を捨てた他の村民らと村を逃れた兄弟は、3日間歩いてバングラデシュに到着した。クトゥパロンで、国境なき医師団(MSF)の施設で3週間、やけどの治療を受けた。

ミャンマーで昨年8月に民族対立が起きてから、毎週、何千人ものロヒンギャの人たちが、国境を越えてイスラム教徒が多数を占めるバングラデシュに避難している。多くは何日も、あるいは何週間もかけて森林地帯や山を歩き続け、最後は危険な川や海を渡ってバングラデシュにやってくる。

バングラデシュの病院や国際支援団体は、このような難民全員に医療を提供するのに苦労している。彼らの多くはひどいけがを負ったり、精神的トラウマを抱えたりしている。

チッタゴン医科大学付属病院の院長によると、同病院は危機が発生してから、銃撃や爆発により負傷した患者261人を受け入れた。

そのうち、16人が死亡、一部は不自由な体となった。

「一部の患者は手足を切断しなければならなかった」と院長は言う。

一方、コックスバザールのサダール病院では、ロヒンギャ難民が流入して以降、1467人を治療したと、同病院の医務官は明らかにした。彼らは銃傷や骨折、ナイフやなたによる切り傷などを負っていたという。

ミャンマー北部ラカイン州で昨年8月、ロヒンギャ武装勢力が軍の治安拠点を相次いで襲撃したのを受け、軍が「掃討作戦」を開始して以降、60万人超のロヒンギャ族がバングラデシュに逃れている。

人権監視団体や逃れてきたロヒンギャ族によると、ミャンマー軍とラカイン州の仏教徒の自警団は、イスラム教徒であるロヒンギャを追い出すため、放火作戦を開始したという。

ゼイド国連人権高等弁務官は「民族浄化の典型例」と非難。仏教徒が多数を占めるミャンマーは、軍が標的にしているのは、放火や市民を攻撃するアラカン・ロヒンギャ救世軍だとして、こうした非難を一蹴している。

バングラデシュのキャンプでは、暴力の犠牲となった他のロヒンギャ族が、体験した恐怖を語ってくれた。

アンワラ・ベーガムさん(36)は、ミャンマー北部ラカイン州マウンドー地区にある自宅で目を覚ますと、炎に包まれていた。屋根が崩れ落ちる前に逃げ出すことができたが、着ていたナイロン製の衣服が両腕に溶けた。

夫に抱きかかえられ、8日後にバングラデシュのクトゥパロン難民キャンプにたどり着いた。

「死ぬと思った。子どもたちのために生きようとした」と彼女は語る。やけどの治療をまだ受けることができないでいるという。

右腕の手の甲からひじの上まで包帯で巻かれたイマム・ホサインさん(42)は、クトゥパロンのキャンプに近い道路脇に疲れて横たわっている。

村のイスラム神学校で教えていたホサインさんは帰宅途中、男3人にナイフで襲われた。

翌日、他の村民らと共に、ホサインさんは妻と子ども2人をバングラデシュに向かわせた。その後、ホサインさんは同国コックスバザールに到着した。だが、まだ家族との再会を果たせていない。

「ミャンマー政府に、なぜロヒンギャを迫害するのか尋ねたい」と彼は言う。「なぜ仏教徒は私たちを毛嫌いするのか。なぜこんなにも苦しめるのか。私たちの何が悪いと言うのか」

手足と体にやけどを負ったモハメド・ジャバイアさん(21)は、村の自宅を吹き飛ばした爆発で、視力も失ったのではないかと恐れていた。

ひどいやけどを負い、気絶したジャバイアさんは兄弟らによって、4日かかってコックスバザールに運ばれた。

「何週間も目が見えず、コックスバザールの公立病院に23日間入院した。ずっと失明したままなのかと怖かった」とジャバイアさんは話す。

マレーシアにいる親戚が送ってくれたカネは底を突き、もう治療を受けることができなくなったという。

17歳のヌール・カマル君は、頭部に負った深い傷痕を見せてくれた。マウンドー地区にある自宅に隠れていたのを兵士に見つかり、攻撃を受けたときのことを振り返った。

「彼らは私の頭を銃床で殴った後、ナイフで切りつけた」とカマル君は語る。

血の海のなかで意識不明のカマル君をおじが発見した。2人は2週間かかってバングラデシュに到達した。

「正義を求めている」とカマル君。「私たちが正義を得られるよう国際社会は助けてほしい」

兵士らがマウンドー地区にあるカラバロウさんの村を襲撃した時、彼女の夫と娘、そして息子の1人は命を落とした。50歳のカラバロウさんも右足を撃たれた。数時間、倒れた場所にそのまま息を潜め、死んだように見せかけた。その後、孫息子がカラバロウさんを見つけた。

11日間に及ぶバングラデシュへの移動中、村の医師はカラバロウさんの感染した足を切断した。彼女はシーツがかけられた竹製のストレッチャーに乗せられ、男性4人によって運ばれた。

「森を通り抜けると、多くの焼かれた村や死体を目にした。常に危険が身に迫っていると思った」とカラバロウさんは振り返る。

マウンドー地区出身の商人アブドゥル・ラハマン(73)さんは、他の難民らと山道を歩いている時に襲撃を受けた。

ラハマンさんは逃げる際、足になたを振り下ろされ、足の指3本を失った。着ていたルンギで作った止血帯に血がにじみ出るなか、自力でさらに2時間歩いた。その後、おいと友人らに運ばれて国境を越えた。

「われわれの未来は明るくない。アラーに助けてほしい。国際社会は行動を起こすべきだ」

11歳のアンサル・アラー君は丸くなって、右の太ももにある大きな青黒い傷痕を見せてくれた。銃で撃たれた傷だ。

「兵士は私たちに銃弾を浴びせ、家を焼いた」と、母親のサマラさんは語る。

「私の人差し指の半分程度の大きさの銃弾だった」とサマラさん。「なぜ神はこのように危険な状況に私たちを置いたのか、考えずにはいられなかった」

マウンドー地区の自宅がロケット砲に直撃された時、セタラ・ベーガムちゃん(12)はきょうだい8人と一緒にいた。

「9人いる子どものうち8人は燃えている家から助け出したが、セタラは家のなかに閉じ込められてしまった」と母親のアラファさんは言う。

「火のなかでセタラが泣いているのが見えたが、なかなか助けることができなかった。どうにか救出したときには、彼女はひどいやけどを負っていた」

父親がセタラちゃんをバングラデシュに運ぶには2日を要した。

セタラちゃんは足に負った重度のやけどの治療を受けることができなかった。やけどは回復したが、足の指をすべて失った。

このことはトラウマとなって、セタラちゃんの心に傷を残した。

「その日から彼女は口を閉ざしたままだ。誰とも口をきかない」とアラファさんは話す。「静かに涙を流すだけだ」

顔の傷に大きなガーゼを当てているモムタズ・ベーガムさんは、兵士らが彼女の村にやってきて、貴重品を要求したときのことを話してくれた。

「私は貧しく、何も持っていないと言ったが、兵士の1人は『カネがないなら殺すまでだ』と言って、私を殴り始めた」

兵士らはモムタズさんを殴った後、自宅に閉じ込め、屋根に火を放った。彼女は逃げ、3人の息子が死んでいるのを見つけた。娘は殴られ、血を流していた。

モムタズさんはバングラデシュに逃れ、MSFの医療施設で20日間、顔と体に負ったやけどの治療を受けた。

「食べ物も家も家族もなく、未来について何が言えるというのか。未来について考えることなどできない。彼らは未来も奪ってしまった」

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below