May 11, 2018 / 4:42 AM / 7 months ago

コラム:英中銀の「史上最短」利上げサイクル、もはや幕切れか

[ロンドン 10日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)が10日の金融政策委員会(MPC)で利上げを見送ったことで、中銀史上最短クラスに分類される今回の引き締めサイクル自体が終わりを迎えたのではないか。

 5月10日、イングランド銀行(英中銀)が金融政策委員会で利上げを見送ったことで、中銀史上最短クラスに分類される今回の引き締めサイクル自体が終わりを迎えたのではないか。写真は英中銀のカーニー総裁。ロンドンで4月撮影(2018年 ロイター/Toby Melville)

BOEが経済成長や物価、賃金上昇率の見通しを下方修正したことを受け、市場はもはや年内の利上げを想定していない。ポンドは値下がりし、4月中旬以来の下落率は6%に達した。

BOEは今年第1・四半期の景気減速は一時的な踊り場であり、経済の基調的な部分はなお強いと主張する。カーニー総裁は、今年は時間の経過とともに景気の勢いが再び増していくと述べた。

昨年11月には、物価上昇率が目標を大きく超える3%近辺で推移していたことなどを背景に25ベーシスポイント(BP)の利上げに踏み切った。しかしこれに続いて利上げする機会は完全になくなってしまったかもしれない。たった1回、25bp幅の利上げサイクルとなれば、そもそもサイクルとも言い難い。

英短期金融市場は今、来年5月の1回だけ次の利上げを完全に織り込んでいる。それでもこうした予想は急に変化する。例えば1カ月足らず前、今回のMPCの利上げ確率は最高で90%に達していたのだ。

その後第1・四半期英国内総生産(GDP)が発表され、前期比0.1%増というほとんどの市場関係者が予想できなかった低調な数字になった。

利上げを妨げているのはまさにこのさえない経済成長だ。BOEが今年の成長率見通しを1.8%から1.4%に引き下げ、来年と2020年の予想も下方修正した原因は第1・四半期GDPのように見受けられる。

カーニー氏が繰り返しているように、英経済にとって最大の不安要素は欧州連合(EU)離脱問題だ。英国は来年3月29日にEUを離脱し、2020年末まで移行期間が設定されている。とはいえ、離脱条件や新たな通商関係・関税の枠組みを巡る不透明感は非常に大きい。

今回のMPC前でさえ、HSBCのアナリストチームは、成長の低迷を理由に年末の英10年債利回りの予想水準を1.30%から1%ちょうどに引き下げた。先週には同行のエコノミストチームが、今年ないし来年にBOEの利上げは見込まれないと表明した。

確かに英経済のどの分野を見渡しても、利上げを経済的に正当化する根拠は薄弱になりつつある。みずほのピーター・チャットウェル氏によると、住宅価格は特にロンドンで下がり、消費者の購買力が限界に達しているので小売売上高も軟調な上に、ブレグジット(英のEU離脱)のせいでサービス部門は拡大が「小休止」している。

物価上昇率すら鈍化傾向だ。足元で北海ブレント価格が1バレル=77ドルと14年以来の高値となっているので、風向きが変わる可能性がある。ただ英国内で醸成される物価圧力、つまり賃金の伸びはBOEが利上げをしなければならないほど加速している兆しは見当たらない。実際BOEは、今年の賃金上昇率の見通しを下げた。

カーニー氏をはじめとするMPCメンバーは、ポンドを下支えするために、それほど大々的ではなくとも追加利上げのメッセージを発し続けるだろう。BOEは、市場が現時点で向こう3年間に3回の25bpの利上げを想定している点を強調する。

ところがカーニー氏が率いるBOEは、かつて市場に利上げを備えさせながら実行せずにはしごを外した過去を持つ。最も顕著な例は同氏が就任した直後の13年で、15年にもそうしたケースがあった。

14年にはある英議員がBOEを「不誠実なボーイフレンド」にたとえ、今回のカーニー氏の会見から判断するとこうしたレッテルが同氏を苛立たせているのは間違いない。

もしBOEが現在再び利上げする態勢にあるか、将来態勢を整える時期を迎えたとしても、まだ次があると市場に信じ込ませるのは相当骨が折れそうだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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