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焦点:ボーイング737MAX、中国での運航再開へ険しい道のり

[北京 23日 ロイター] - 米ボーイングの最新鋭旅客機737MAXは、通商を巡る確執や規制面のハードル、中国の競争力を抑えようとする欧米諸国の企てなどにより、中国での運航再開が遅々として進まない。ボーイングは潜在的な競争相手が影響力を強め、いらだちを募らせている。

6月23日、米ボーイングの最新鋭旅客機737MAXは、通商を巡る確執や規制面のハードル、中国の競争力を抑えようとする欧米諸国の企てなどにより、中国での運航再開が遅々として進まない。写真は737MAX。シアトルで2020年6月撮影(2021年 ロイター/Karen Ducey)

737MAXは5カ月間で2度の墜落事故を起こし、2019年に各国が運行停止措置を取った。欧米諸国は昨年秋に約2年ぶりに運航停止を解除したが、それから半年が経過しても中国での危機的状況に終息の明確な見通しが立たない。MAXはボーイングにとって最も売上高の伸びが大きいジェット機だ。

ボーイングは以前、中国で運航再開の承認が昨年末に得られると期待していた。今年1月時点では、6月末にすべての国の規制当局が承認を出すとの見通しを示していた。

今はバイデン米政権の支援を受けて、MAXは安全だと中国に納得させ、同社として最も戦略的な提携関係である中国との関係を仕切り直す努力を強化している。

しかしこうした議論に詳しい関係者によると、規制面や政治面の障害のため解決にはまだ数カ月掛かるという。ボーイングのカルホーン最高経営責任者(CEO)からすれば、利益や市場シェアがライバルの欧州エアバスに奪われることになる。

カルホーン氏は今月のイベントで「この問題があまりにも長引けば私が代償を支払うのは分かっている。代償を払うのは(中国が)この業界の成長に占める割合が最も大きいからだ」と話した。

カルホーン氏によると、中国の見通しが不透明なためボーイングはMAXについて、2022年初頭までに達成を見込んでいる月間31機の生産ペースを引き上げることができるという確信が持てない。

同社は2017年以来、世界最大の航空市場である中国で新規受注がほぼ完全に締め出しを食っており、その影響で長距離ジェット機787型機の減産を決めた。

中国は国産狭胴型ジェット旅客機C919などで欧米の航空機メーカーに対抗したいと考えている。C919を生産する国有の中国商用飛機(COMAC)は今年末までに国内で認証を得たい意向で、最終的には西側諸国でも認証獲得を目指している。

一方、米国と欧州は競争に備え、航空機を巡って17年間続く通商紛争をいったん棚上げとし、中国の補助金制度に焦点を当てている。

主要7カ国(G7)は先に首脳会議(サミット)で、さまざまな問題で中国を非難し、新型コロナウイルスの起源についての調査を要求、中国は強く反発した。

MAXに関する決定についての政治状況が改善するのは、7月1日の中国共産党結党100周年記念式典以降になりそうだと、関係者やアナリストは見ている。

戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザー、スコット・ケネディー氏は「共産党結党100周年式典、来年の共産党党大会、22年冬季五輪などが控えており、中国は非協力的になる」と話す。

<実務的な障害>

中国は1年前にはMAXの運航再開について欧米諸国に近いスケジュールとなる見通しだった。

しかし業界筋によると、政治、ビザや検疫などの実務的な問題、中国航空当局の厳しい調査などにより、早期解決への米国の期待は徐々にしぼんだという。

業界筋の1人によると、昨年は技術者がシアトルから中国に向かい、中国民用航空局(CAAC)からの技術的な問い合わせに答えた。

業界関係者2人によると、CAACのスケジュールが他の規制当局よりも遅れていることが明らかになり、ボーイングは中国が代表者をシアトルに派遣してテスト飛行を観察することを提案した。しかしCAACは、米国は新型コロナの流行が激しいとして断ったという。

1人目の関係者によると、その後ボーイングの技術者とパイロットが北京で試験飛行を行う計画が浮上したが、6カ月経っても実現しなかった。

<慎重な中国当局>

CAACは航空規制当局として世界で最も保守的なことで知られる。中国は10年余りにわたり商用機の墜落事故が起きていない。

世界で最初にMAXの運航停止を決めたのはCAACで、以来3度にわたり中国での運航再開に向けた要件を出している。

中国の国務院(内閣)の計画によると、政府は2050年までに国際的な航空大国になり、自国の規制当局の国際的な影響力を高めるという長期的な野望を抱いている。

欧米の航空宇宙業界の関係者によると、中国の規制当局はこれまで認証の際に2国間協定に基づいてチェックマークを入れるだけだった。しかし最近は詳細な、時には特許で守られたデータや分析、プレゼンテーションを求めるという。

(Norihiko Shirouzu記者、 Stella Qiu記者、Jamie Freed記者)

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