[東京 8日 ロイター] - 日銀が8日発表した11月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比6.3%増となり、3カ月ぶりに伸び率が拡大した。大企業の一部で劣後性資金を取り入れる動きが見られたほか、グループ再編など大口のM&A(企業の合併・買収)資金の借り入れがあり、都銀等の貸出が伸びたことが押し上げにつながった。
内訳をみると、都銀等の貸出平残は6.9%増と前月の6.6%増から伸び率が拡大。地銀・第二地銀は5.2%増で、前月と変わらなかった。信金は8.3%増となり、前月の8.0%増からさらに伸びて伸び率は過去最高を更新した。
貸出平残は銀行・信金計で573兆7945億円、地銀・第二地銀は266兆4395億円、信金は75兆4508億円でいずれも過去最高。
年末越えの資金繰りについて日銀の担当者は「中小企業を含め、比較的多くの企業で手元資金が厚めの状態にある。金融機関もしっかり企業の資金繰りを支える姿勢を示しており、全体として懸念がある状況ではない」と指摘する。ただ「個別企業ごとに直面する需要動向にはかなりのばらつきがあり、引き続き注視が必要」と話している。
11月の預金平残は都銀・地銀・第二地銀の3業態計で前年比9.0%増の799兆5626億円。貸出増や各種交付金により平残は過去最高となった。
和田崇彦
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