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日銀審議委員に安達誠司氏を提示:識者はこうみる

[東京 28日 ロイター] - 政府は28日、衆参両院の議員運営委員会理事会に、日銀審議委員として安達誠司・丸三証券経済調査部長を提示した。市場関係者に見方を聞いた。

1月28日、政府は衆参両院の議員運営委員会理事会に、日銀審議委員として安達誠司・丸三証券経済調査部長を提示した。市場関係者に見方を聞いた。東京の日銀本店前で2018年1月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

●「フォワードガイダンス」への賛否に注目=大和証 岩下氏

<大和証券 チーフマケットエコノミスト 岩下真理氏>

安達氏はリフレ派であり、どちらかというと現状の金融緩和による副作用に配慮することよりも、金融緩和を継続することを優先するのだろう。

ただどの程度強硬な主張をするかは、実際に政策委員の間で議論が始まらないと分からない。フォワードガイダンスにしても、その内容はあまりにファジーなものだが、原田氏は任期終盤ということもありこれに妥協した一方、強硬派の片岡氏は反対している。果たして安達氏が原田氏に近いのか、片岡氏に近い立場なのかも注目材料だ。

リフレ派といっても、今は「変形リフレ」派とも呼べる主張が主流。つまり景気悪化や物価低下には金融政策だけで対応すべき、という当初の主張から、金融政策だけでは効かないから、財政+金融緩和(現状維持)で対応すべきというポリシーミックスの主張に変形している。少なくとも、金融緩和は継続するという点は変わらないということだ。

●同じリフレ派、市場には「さざ波」さえ立たない

<ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏>

政府が原田泰日銀審議委員の後任として提示した安達誠司・丸三証券経済調査部長は、原田氏と同じリフレ派として知られており、考え方も大きく変わらないとみられている。金融政策の効果を重視し、引き締めのバイアスは少ないだろう。日銀ボードメンバーのいわゆる分布図も現状維持が想定され、今の日銀の体制を維持させるという意図がみえる。市場には「さざ波」さえ立たないだろう。市場の混乱を避けようとする目的もあったのではないか。

●市場への影響を重視、総選挙など想定か

<ピクテ投信投資顧問 シニア・フェロー 市川眞一氏>

安達誠司氏は原田泰日銀審議委員と同じリフレ派として知られており、政策の継続性を重視した人事案だとみられる。

量的・質的金融緩和(QQE)が導入された2013年4月当初の目標である2年で2%のインフレはいまだ達成できず、今年の1月日銀展望リポートでは、消費者物価指数(コアCPI)の予想が引き下げられた。リフレ的政策の効果については、限界があるということは現政権でもわかっているだろう。

しかし、今秋の解散・総選挙のシナリオといったことを考えるなら、金融政策の変更は大きなリスクだ。現在の日銀の金融政策が変更されるかもしれないとマーケットが考えるだけで、円高・株安が起きる可能性がある。それは現政権にとって好ましくない。

現在の政策が経済に対して効果があるかどうかというよりも、金融政策に対する期待がマーケットに影響を与えないということを重視した人事案と言えるのではないか。

●リフレ派も金融政策より財政に軸足ややシフト

<野村総研 主席研究員 井上哲也氏>

原田氏の後任ということで、安達誠司氏もリフレ派の印象が強い。

ただ黒田体制になってから、リフレ派の主張も当初とは微妙に変わってきているように見える。当初は量の拡大が物価上昇につながるとして、金融政策の役割を重要視していたが、最近は徐々に、財政の役割重視に変化しているようだ。

リフレ派は総需要不足への問題意識が強いが、日銀はすでに目いっぱいの金融政策を実施しているのだから、財政もより役割を果たすべき、といった考え方をにじませている。

YCC以降、すでに主眼が量から金利に移ってきている中で、政策委員会内の副作用重視派とリフレ派のバランスの点から、多様性があっていいのではないか。

最終的に出口政策がどうなるかは、もはや金融政策自体の効果より、ファンダメンタルズ次第ということだろう。

●金融政策の正常化は当面見込めず

<アライアンス・バーンスタイン 債券運用調査部長 駱正彦氏>

安達誠司氏も原田泰日銀審議委員と同じリフレ派で、原田委員と同様に大規模な追加緩和を提唱し、現行の政策運営に反対票を投じるかどうか注目だ。また、現状の金融緩和政策が限界にきている中で、金融・財政政策のポリシーミックスに安達氏がどのくらい傾くかに関心が集まりそうだ。

政府がリフレ派ではない人を提示した場合、市場では金融政策の正常化への思惑が高まる可能性はあったが、それはなくなった。日銀は引き続き2%のインフレ目標を掲げ、金融政策は現状のまま維持され、円債市場への影響は特にないだろう。

*内容を追加しました。

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