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日銀、16年度コアCPIゼロ%後半の試算 焦点は物価の基調

[東京 20日 ロイター] - 日銀は、原油価格の急落を受け物価見通しの修正作業を進め、2016年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の見通しについて、前年比プラス1.4%から同ゼロ%台後半へと大幅に引き下げる試算が浮上している。ただ、追加緩和するかどうかは、原油などエネルギーの影響を除いた「物価の基調」の動向で判断。さまざまな情報を総合判断し、基調に変化が生じる可能性について、突っ込んだ議論を展開する見通しだ。

 1月20日、日銀は、原油価格の急落を受け物価見通しの修正作業を進め、2016年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の見通しについて、前年比プラス1.4%から同ゼロ%台後半へと大幅に引き下げる試算が浮上している。都内の日銀本店前で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

昨年10月末に公表された日銀「展望リポート」は、金融政策を決める9人の委員の見通しの中央値として、16年度コアCPIは前年比1.4%上昇するとしていた。

同時に、原油などエネルギー価格が前年比で0.2%ポイント指数を下押しするとの試算も公表。エネルギーの影響を除いた基調的な物価は、同1.6%上昇する可能性が高いと読み込める構成になっていた。

その際の前提は、欧米先物市場を参考にする形で原油価格(ドバイ産)が1バレル50ドルから、18年3月に向けて65ドルに上昇すると想定していた。

しかし、原油価格はその後急落を続け、19日のドバイ産原油は25ドルを割り込み、24ドル台まで下落した。

今月29日に公表する展望リポートでは、想定原油価格を15ドル程度下方修正、足元35ドル、18年3月で50ドルとの前提に置き換える公算が大きい。

この結果、原油価格の前年比がプラスに転じる時期は、従来の16年夏から16年末にずれ込み、電力やガス料金などエネルギー全体が指数をプラスに押し上げる時期も、16年度後半から16年度末ないし17年度初めにずれ込む見通しだ。

関係筋によると、16年度の物価に対するエネルギーの押し下げも、従来のマイナス0.2%からマイナス0.7─0.8%程度に大幅に拡大する可能性があるとの試算が、日銀内ではじき出されている。

仮に日本経済の緩やかな拡大が続き、物価の基調的な動きが大きく下振れなければ、16年度のコアCPIは前年比プラス0.7─0.9%程度になるとの試算が出ているもようだ。

これは日本経済研究センターが集計している民間エコノミスト予想の集計値(ESPフォーキャスト)の同プラス0.8%に近い水準となる。

また、基調に変化がなければ、17年度のコアCPI見通しは、従来見通しの前年比1.8%から大きく動かさないとの意見も出ている。

その場合、日銀が現在「2016年度後半ごろ」としている目標の2%の到達時期も、後ずれは避けられない。もっとも。追加緩和の是非は、需給ギャップやインフレ期待で判断する「物価の基調」の改善が持続できるかどうかが焦点となる。

原油安を受け足元の物価低迷が長期化していることにより、最近公表された企業や家計のアンケート調査などからは、短めの期間を中心にインフレ期待の下振れを示唆するデータが目立ってきた。

一方、需給ギャップについては、世界経済の不透明感の強まりという下振れ要因がある一方、雇用情勢は引き締まり傾向が続くとともに、原油安自体は経済の中長期的な支援材料となる。

日銀が物価の基調的な動きに近いとみているエネルギーを除いたコアCPI(日銀版コアコアCPI)は、15年11月まで同プラス1.2%となり、この先も短期的には改善が見込まれている。

ただ、世界経済のさらなる減速や、最近の金融・資本市場の不安定化を受け、企業の中には来年度の賃上げや価格設定行動に対し、より慎重に対応しようという動きも見られるようになってきた。

こうした点も踏まえ、日銀は次回会合で物価の基調の先行きについて、慎重に点検する見通しだ。

竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦

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