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インタビュー:欧米金融正常化、日銀も微調整=加藤・東短リサーチ社長
2017年10月31日 / 02:56 / 25日後

インタビュー:欧米金融正常化、日銀も微調整=加藤・東短リサーチ社長

[東京 31日 ロイター] - 東短リサーチ社長・チーフエコノミストの加藤出氏は30日、ロイターのインタビューで、欧米中央銀行が金融政策の正常化を続けている間に、日銀は超金融緩和政策を微調整する必要があるとの見解を示した。

 10月30日、東短リサーチ社長・チーフエコノミストの加藤出氏は、ロイターのインタビューで、欧米中央銀行が金融政策の正常化を続けている間に、日銀は超金融緩和政策を微調整する必要があるとの見解を示した。写真は欧州中央銀行本部の外観とEU旗。4月にフランクフルトで撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が数年後に正常化を止めて緩和に転じれば、日銀は次の景気拡大サイクルまで、その機会を失ってしまうと警鐘を鳴らした。

主な一問一答は以下の通り。

――今後の金融政策の課題は。

「日米欧の中央銀行は、今年の成長率が一番良いとみており、来年以降は減速していく予想だ。来年のできるタイミングでイールドカーブをある程度持ち上げておかないと、地域金融機関の収益を圧迫し、金融仲介機能を痛めてしまう怖れがある。金融緩和の効果が長期的に発揮できるように、イールドカーブを適正な水準にしておくことが肝要だ」

──具体的な手法とタイミングは。

「まず、10年金利を最大で50ベーシスポイント(bp)程度まで徐々に引き上げていく。その後で、可能であればマイナスの短期金利を修正できればよいと思う」

「経済、物価、金融情勢を考慮しながら、緩和効果が一番出やすいカーブで金融政策を運営するといえば、説得力があるだろう」

「タイミングは正式に次の総裁が任命された後になるので、早くても来春以降だろう」

「FRBが利上げを継続できれば、円安環境でカーブの調整を行いやすいが、米国の株式が調整局面に入ると困難なナローパスとなる」

──微調整は、金融政策の変更ということになるのか。

「30bp程度であれば、目標は変更せず、拡大解釈で現行政策を続行すると説明する方法もある」

「米国で自然失業率を下回る失業率が、インフレを押し上げ、2019年にも3、4回の利上げができる環境であれば、日銀の買入れターゲットを5年物など、手前に持ってくることもあるだろう。いずれにせよ、金融環境を見定めつつ慎重にゆっくりと進むことになる」

──出口戦略で日銀が赤字になっても、政府と合体させた「統合政府」と見なせば、問題はないとの議論について。

「政府の財政が健全な国であれば、中銀の一時的な損失は問題がないが、わが国のように先進国で最悪の財政状況で、一体化したところで救われる状況はない」

──プライマリーバランス達成目標の形骸化について。

「日銀は、最大の国債保有者として、財政の信認を維持して欲しいと主張する権利があると考えている」

──超金融緩和の副作用や弊害は。

「財政規律を弱めたこと。過去にも対外収支が良くて低金利を維持できた国はあるが、国の繁栄に陰りが出てくるとそれは維持できなくなる」

「もしわが国の人口が増大し、世界中から優秀な人材が集まり、企業の競争力が世界をリードしていける状態であれば、神経質なことを言わなくてもすむ」

「しかし、そのような状況になく、急速な高齢化と現役世代の人口減少により、財政赤字は2020年代後半から本番を迎える。今大丈夫だから、10年後にも大丈夫ということにはならない」

──景気拡大の中で、なぜ物価が低迷するのか。

「需要の高まりが主因ではなく、人口減少を背景とする人手不足があるからだ。10代、20代の人口減少がより鮮明になる中、価格を上げて、消費者がついてこれるかという恐怖感があり、企業は非正規社員の賃金の引き上げを販売価格に転嫁しないようしている」

「4年半の非伝統的金融緩和をやってみて分かったことは、物価は必ずしも貨幣的現象ではないこと。デフレ脱却が日本経済復活の1丁目1番地でもないことだ」

「近年はおよそゼロインフレであり、ゼロインフレで均衡している状態から脱却すべきかどうかは、金融政策の問題というよりも、人口の問題、あるいは稼げる企業が増えて、賃金やボーナスを払えるかという問題だろう」

──労働市場について。

「超金融緩和策によって、低生産性の企業や企業内の低生産性部門が維持されてきてしまった。こうした正規社員については、賃上げが無くても職場を去るリスクが低い」

「金融政策を微調整すれば、低生産性企業や部門が整理され、人手不足が解消されるかもしれないが、ショックを伴うため、政治的にできないまま現在に至っている」

──2%のインフレ目標は適切か。

「インフレ目標は1980年代初頭までに構築された議論だ。90年代以降のグローバリゼーションと、2000年以降のIT革命で経済の構造が変わってきていると思う」

「90年代以降に世の中が変わったかは、理論的には検証できていないかもしれないが、旧来の議論を信じたまま、政策を遂行して大丈夫かと、多くの人は感じているのではないか」

森佳子 編集:田巻一彦

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