July 6, 2016 / 8:11 AM / 4 years ago

日銀の「設備・人材ETF」買い進む、投資家への浸透が課題

[東京 6日 ロイター] - 日銀による「設備・人材ETF」の買い入れが進んでいる。これまではJPX日経400.JPXNK400に連動するETFを購入していたが、今年5月以降、新規設定が相次いだことで、6月は日銀購入額の6割以上が流入したとみられている。もっとも、投資家の関心はまだ高いとはいえず、日銀の買いが「呼び水」にはなっていない。

 7月6日、日銀による「設備・人材ETF」の買い入れが進んでいる。写真は都内の日銀本店前で6月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

<6月に約165億円を購入>

日銀は、2015年12月、量的・質的金融緩和(QQE)の補完措置として「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFを買い入れると発表。購入枠は年間3000億円で、16年4月から購入を開始するとした。

ただ、当時は「設備・人材ETF」が上場しておらず、日銀は「当初は、JPX日経400に連動するETFを買入対象とし、この施策の趣旨に合致する新規のETFが組成された場合には、速やかに買入対象に加える」としていた。

日銀が公表している「設備・人材ETF」の買い入れ結果によると、日銀は4月、5月とも228億円を購入。そのほとんどがJPX日経インデックス400連動型上場投信(1591.T)などに流入したとみられている。

その後、5月に「NEXT FUNDS 野村企業価値分配指数連動型上場投信」(1480.T)と「ダイワ上場投信─MSCI日本株人材設備投資指数」(1479.T)が新たに上場。その後、6月29日上場の「MAXIS JAPAN 設備・人材積極投資企業200上場投信」(1485.T)を含めて適格ETFは6本まで拡大。日銀の購入額の一部が6月初旬から同ETFに向かっているという。

複数の関係者によると、日銀が6月に「設備・人材ETF」を購入した金額は約165億円とみられる。同月の購入分264億円の6割以上を占めた。

<投資家の関心喚起が課題>

もっとも「設備・人材ETF」に対する投資家の関心は高いとはいえない。足元の市場環境悪化に加えて、設備や人材に積極的に投資する企業の将来的なパフォーマンスに確信が持てないことも一因だ。

新指数の1つを手掛けたMSCI東京支店マネージング・ディレクターの内誠一郎氏は「企業にとって設備投資や人材投資はコスト。設備投資額の大きな銘柄で作った単純なポートフォリオは中長期的に市場をアンダーパフォームするというのは海外の学術論文でも示されており、業界では常識だ。指数化には多くの工夫が必要」と話す。

機関投資家の出足も鈍い。「視点としては反対するところではないが、新しいインデックスの採用はそれなりに勇気のいる作業。投資家としては、新指数が長期的な投資の質をきちんと捉えられるという確信が持てない限り、なかなか買えない」と新日鉄住金(5401.T)財務部で年金基金を運用する武南勲氏は言う。

仮に「設備・人材ETF」に多くの資金が流入しない場合、日銀による年間3000億円の同ETF購入が難しくなる可能性もある。日銀が買い入れるのは同ETFの純資産総額の半分までとしているためだ。

6月末の純資産総額は、6本合わせて850億円。新規設定額が大きかったDIAM ETF JPX/S&P設備・人材投資指数(1484.T)とダイワMSCI人材設備がそれぞれ300億円超と抜きん出ているが、他の4本はいずれも数十億円規模にとどまる。

ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は「設備・人材ETF」の先行きに対し、「投資家への広がりは正直、未知数だ。GPIFが(国内株運用の指標に)JPX日経400を採用した時のようなきっかけがない限り、すぐに広がるというのは難しいのではないか」と述べている。

植竹知子 編集:伊賀大記

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