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アングル:久々の日銀ETF買いに当惑も、特殊事情で「法則」解釈が複雑化

[東京 1日 ロイター] - 日銀による久々の上場株式投信(ETF)買い入れに、市場では当惑の声が上がっている。9月29日に約3カ月ぶりとなる買い入れを実施したが、この日は配当権利落ち日という特殊事情があり、市場で基準と目されているTOPIXの前場下落率を巡る解釈が分かれたためだ。31年ぶりの高値水準を回復した日本株に下支えは必要なのかとの疑問も出ている。 

日銀による久々の上場株式投信(ETF)買い入れに、市場では当惑の声が上がっている。写真は2017年6月、都内で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

<実質2%以下での買い入れ> 

29日のTOPIXの前場下落率は2.4%。市場では、日銀の買い入れ基準として2.0%説があり、この日も買い入れを予想する声はあった。ただ、9月配当権利落ち日という特殊事情を考慮すれば、実質の下落率は2.0%に満たず、解釈を複雑にした。

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、予想外の買い入れで理解に苦しむと困惑。「今回のような買い方が続けば、今後、相場が混乱する要因になりかねない」と懸念を示す。

日銀は3月の政策点検で、年間12兆円程度の上限を維持する一方で、6兆円程度としてきたETF購入の目安を撤廃、「必要に応じて買い入れを行う」と買い入れ方針を柔軟化させた。 

政策点検までは、TOPIXの前場下落率が1%を超えるケースでのETF買い入れがほとんどだったが、3月以降は、1%以上であっても2%以下の下落であれば、買い入れは実施されていない。 

<買い入れ頻度は低下>

実際、日銀のETF買いは、3月の政策点検以降、頻度が低下しており、29日の買い入れは4月21日、6月21日に続き3回目だった。4月21日の前場のTOPIX下落率は2.17%。6月21日は2.55%だった。 

第一生命経済研究所の主任エコノミスト、藤代宏一氏によると、TOPIXが前場で2%以上、下がったのは2015─20年をならすと1年あたり9回程度しかない。29日と同額の701億円を9回買っても、年間6300億円程度にとどまる。「日銀は年間の買い入れ額を1兆円以内に抑えたいと考えているのではないだろうか」と、藤代氏はみる。 

頻度が低下する日銀買い入れに市場の関心も薄れている。29日の久々の買い入れは、市場の一部で話題になったが、「翌日の朝刊の記事で、日銀がETF買いを続けていたのだとようやく思い出したぐらい」(国内証券)との声も聞かれる。

東洋証券の大塚竜太ストラテジストは「日銀に頼らなくてもいい相場になってきたということではないか」と指摘する。 

日銀では、マーケットでの価格形成が自律的に行われることに好意的な見方がある一方、市場センチメントの維持や金融システム安定の観点から、相場が急変しないか注視すべきだとの声も根強い。ETF買い入れが大規模な金融緩和の1つのツールであるとの認識に変わりはない。 

ただ、市場では「株価が高値圏にありリスクプレミアムが高くない中で、日銀のETF買いの必要性は薄れている」(ニッセイ基礎研の井出氏)との声も出ている。

日銀は、29日にETFを買い入れた背景についてコメントを差し控えるとしている。

(平田紀之 和田崇彦 取材協力:杉山健太郎 編集:石田仁志)

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