September 13, 2018 / 8:55 AM / 10 days ago

焦点:日銀ETF買いの新基準、TOPIX0.5%安との思惑浮上

[東京 13日 ロイター] - 日銀がETF(上場投資信託)を買い入れる基準が変わったのではないか──。こうした思惑が株式市場で浮上している。市場参加の注目を集めているのが、前場時点でのTOPIX.TOPXの下落率。基準となる下落幅がこれまでよりも広がり、0.5%になったとの観測が出ている。

 9月13日、日銀がETF(上場投資信託)を買い入れる基準が変わったのではないか──。こうした思惑が株式市場で浮上している。市場参加の注目を集めているのが、前場時点でのTOPIXの下落率。基準となる下落幅がこれまでよりも広がり、0.5%になったとの観測が出ている。写真は都内の日銀本店。2016年3月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai/File Photo)

7月に日銀が決定した「政策柔軟化」に対応した結果と市場ではみられているが、株価に与える影響も微妙に変化してきそうだ。

<政策柔軟化に対応か>

日銀は12日、今月5回目となる通常のETF買いを実施した。8月は2回しか入らず、市場では「ステルステーパリング(明示されない減額)」開始かとざわめいたが、株価が一定程度下げると買いが入ることが前週の軟調相場で分かってきた。

「新基準」とみられているのが、前場終了時点でのTOPIX前日比マイナス0.5%だ。今月、日銀がETF買いを入れた日をみると、3日0.63%、5日0.75%、6日0.51%、7日0.74%、12日0.72%と、いずれも0.5%以下となっている。

ETF買いが2回しか入らなかった8月は、TOPIXの下落率が0.5%よりも大きかった日が10日(0.56%)と13日(1.72%)しかなかった。そして、その2日とも日銀による買いが入っている。新基準に照らすと、8月は株価が大きく(0.5%以上)下げる日が少なかったので、買いも減ったということになる。

7月30、31日の政策決定会合で、日銀は政策の修正を決定。長期金利目標のレンジ化とともに、ETF購入についても「市場の状況に応じて、買い入れ額は上下に変動し得る」と変更された。年間約6兆円という額自体の目標は据え置かれたが、その買い方は以前より柔軟になるとみられている。

<「新基準」も一定でない可能性>

これまでもTOPIXの前場下落率は、日銀によるETF購入の基準として市場から注目されてきた。従来、市場がメルクマールとしてきた基準は0.3%安。それよりも0.2%ポイントほど切り下がったことになる。

ただ、実際の買いが入るレベルを詳細にみると、水準は一定ではなく、4月4日のように0.14%で買いを入れた日もあれば、0.30%だった7月5日のように、基準に抵触した日でも買いを入れない場合もあった。

ETF買いに1つの基準があると市場に思い込ませてしまうと、投機的な動きが出やすい。「TOPIXの前場下落率0.5%」が新基準だったとしても、日銀はそれを定着させないよう、いろいろと買い方を変えてくる可能性は大きい。

ただ、柔軟化という政策変更の趣旨を考慮するなら、日銀のETF買いは「株価が下落してきたところで多く買う方向に変化してきた」(外資系証券トレーダー)とみるのが自然だろう。

これまでも、日銀がETF買いを入れた日は、TOPIXが前場マイナスだった場面がほとんどだったが、今後は一定程度下げないと入らない可能性が大きくなるかもしれなない。

<PKO的性格に変化か>

日銀のETF買いの特徴を示す例として、かつてのPKO(プライス・キーピング・オペレーション)との比較がわかりやすい。

「PKOは株価の下落局面でないと株買いを入れないが、日銀は中期的に株価が上昇している局面でも、前場段階で株価が少しでも下げれば買いを入れる株価押し上げ的な特徴がある」(ケイ・アセット代表の平野憲一氏)と指摘されてきた。

日銀のETF買いが日本株を押し上げているかどうかは議論が分かれるところだ。ただ、今回の政策修正で今後は買い入れにメリハリをつけ、株価下落局面で積極的に買う一方、株価の上昇局面では買いを控えるようにすれば、株価下支え的なPKO的性格が増すとみられる。

ニッセイ基礎研究所のチーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏は、株価が上がっているときに、わざわざ買いを入れるムダ弾を減らせるようになると指摘。今回の政策修正は緩和縮小ではなく、むしろ緩和継続のための措置だと評価している。

ただ、その上で「この先、何年もETF買い入れを続けるという意味を含んでいるのだろう。その結果、日銀のETF保有額がどこまで膨らむか想像できない」と話している。

ETFの購入方法について、日銀のコメントは得られていない。

2010年に、日銀がETF買い入れを始めた当初の年間購入額は4500億円。それが今や年間6兆円となり、日本株の買い主体の筆頭だ。今年8月末時点で時価総額は推計で約26.8兆円まで膨らんでいるが、「出口」はまだ一向に見えない。

(伊賀大記 取材協力:伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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