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焦点:手つかずの政府・日銀アコード、改定巡り市場に思惑 正常化期待も

[東京 21日 ロイター] - 8年以上手つかずとなっている政府・日銀の政策協定(アコード)の改定を巡って、市場で思惑が広がっている。10月4日召集の臨時国会で選出される新首相は、2023年4月に任期切れとなる黒田東彦総裁の後任を選ぶ権利を持つことになるためだ。ポスト黒田の人選次第では、日銀が異次元緩和を正常化する方向に動く可能性もあるとの見方が出ている。

 9月21日、8年以上手つかずとなっている政府・日銀の政策協定(アコード)の改定を巡って、市場で思惑が広がっている。写真は都内の日銀本店前で2015年5月撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

<首相交代、見直しの契機に>

「首相が変わればアコードも見直すことになるのか」。在京の証券会社関係者は今月に入って顧客からこうした照会を受けたという。

アコードは、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向け、政府・日銀が2013年1月に結んだ政策協定で、日銀は物価目標2%の早期達成を目指し、政府は成長力強化や持続的な財政構造確立に取り組むことを明記している。こうした取り決めは、海外では、中央銀行トップや首相交代に伴う改定を規定しているケースもあるが、昨年9月に発足した菅義偉政権はアベノミクス推進の礎と位置付け、この協定を引き継いだ。

河野太郎行政改革相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏で争う今回の自民党総裁選では、新型コロナ対応もあり当面はいまの金融政策を継続するとみられている。

「当面は誰が首相に選出されても金融政策への影響は小さいというのが市場コンセンサス」と、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニア・マーケットエコノミストは指摘する。

もっとも、新政権が、新型コロナウイルスのワクチン接種を進めるなどコロナ対策にめどを付け、次期衆院選や来年夏の参院選を乗り切ればアコードの扱いが焦点に浮上しそうだ。有力候補とされる河野氏が選出された場合は「過去に緩和長期化のリスク・効果の提示を迫った立場から、アコード見直しを考えても不思議はない」と六車氏は言う。

河野氏は16日の報道各社のインタビューで「コロナ禍で金融政策を急に変えることはできない」と、政府・日銀の政策協定に関する質問に答えた。

ただ、SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは「聞きようによっては(コロナ感染収束後に)見直しを検討するということ」とし、河野氏が選出されれば「新日銀総裁誕生に向けていずれかの時期に声明修正の議論が始まることがイメージされる」と話す。

<4候補とも改定含み>

総裁候補のうち、所得格差の是正を訴える岸田氏もアベノミクス路線とは距離があるとされる。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「リフレ的な政策と距離を置いてきた河野氏、あるいは岸田氏が首相となる場合、できるだけ早期に、としている物価2%目標をより明確に長期的な目標として位置付けたうえで、財政ファイナンスがゼロコストではなく、中銀のバランスシートにリスクが積み上がっていることが確認される可能性がある」と指摘する。

超金融緩和の弊害を懸念する野田氏も河野、岸田両氏と「同様の見直しになる」と、BNPパリバの河野氏はみている。

一方、アベノミクス路線を継承する高市氏も、物価目標2%を達成するまで基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を凍結すると主張、協定に掲げる「財政運営の信頼を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進する」との考えと整合性がとれない。

2012年から5年にわたり日銀審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「次の首相には金融・財政政策に強く依存したアベノミクスからの脱却を期待したい。実際、そうなる可能性は十分にある」と語る。

「次期政権のもとでは、より政治的圧力から逃れ、日銀出身者が次期総裁に指名され、長期にわたる異例の金融緩和がもたらす副作用の軽減に寄与することが期待される」と木内氏は言う。

(杉山健太郎、山口貴也 編集:石田仁志)

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