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粘り強く緩和継続、景気下支え必要 政府と認識に違いない=日銀総裁

[東京 28日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は28日、金融政策決定会合後の会見で、企業収益や賃金が増加する好循環の中で2%の物価安定目標を実現するには「なお時間を要する」とし、現行の強力な金融緩和政策を粘り強く続けることが適当との考えを示した。原油価格や物価が高騰する中で景気の下支えが必要ということについて政府と日銀に認識の違いはないとも述べた。

 4月28日、日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合後の会見で、企業収益や賃金が増加する好循環の中で2%の物価安定目標を実現するには「なお時間を要する」とし、現行の強力な金融緩和政策を粘り強く続けることが適当との考えを示した。写真は2019年12月、都内で撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

日銀が同日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比は、2022年度にいったん2%に近づくものの、その後は1%強までプラス幅を縮小すると予想している。

黒田総裁は、原油などの資源価格が見通し期間を通じて上昇し続けるとは想定していないと強調。「企業収益や賃金・雇用が増加する好循環の中で、2%目標を安定的に実現するまでにはなお時間を要する」と語った。その上で「経済を下支えし、基調的な物価上昇率を引き上げていく観点から現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適当だ」と述べた。

<コアコアCPI、24年度はプラス1.5%>

エネルギー価格の振れが大きくなっていることを踏まえ、展望リポートでは生鮮食品とエネルギー価格を除くベースの消費者物価指数(コアコアCPI)の見通しも示された。24年度にかけて緩やかに上昇する見通しが示されたが、黒田総裁は24年度でも前年度比プラス1.5%と「2%には届いていない」と指摘。24年度のコアCPIの見通しはプラス1.1%で「この見通しの通りなら、金融緩和の出口を早急に探ることにはなっていない」とし、粘り強く金融緩和を進めていく必要があると繰り返した。

コアCPIは23年度には伸びが鈍化する見通しで、インフレ期待がどんどん高まっていくのは難しいとの見方も示した。

<連続指値オペの運用明確化で「市場の憶測回避」>

日銀は今回の会合で、現行の金融緩和策の現状維持を決定した。あわせて10年物国債を0.25%の利回りで無制限に買い入れる指し値オペを原則、毎営業日実施することも決めた。

黒田総裁は、連続指し値オペの運用を明確化した理由について「長期金利が0.25%に近づいた時に指し値オペをするのかしないのかといった市場の憶測を回避するため」と説明。この措置により、市場の憶測でマーケットが動くことは避けられると語った。また、指し値オペ自体が市場を揺らしていることはないとの認識を示した。

<政策発表後に円安加速し130円台>

日銀が金利上昇を抑え込む姿勢を見せたことで米欧などとの金利差拡大が意識され、外為市場では円売り圧力が強まった。128円後半で推移していたドル/円は一気に130円を突破。2002年以来20年ぶりの円安水準を付けた。

黒田総裁は、今回の政策が従来の政策に比べてより円安を促すものだとは「思っていない」と強調。為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましく、急激な変動はマイナスに作用するという認識は鈴木俊一財務相と同じだと述べた。

黒田総裁は「全体として、円安がプラスという評価を変えたわけではない」と話す一方、「過度に急激な変動は不確実性の高まりを通じてマイナスに作用する」と指摘。日銀として為替変動が経済物価に与える影響を「十分注意してみていく」と語った。

(杉山健太郎、和田崇彦)

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