July 30, 2019 / 10:40 AM / 4 months ago

焦点:物価勢い、海外起点の失速警戒 日銀総裁「予防的」に言及

[東京 30日 ロイター] - 日銀は30日の金融政策決定会合で、物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が失速するおそれが高まる場合は「躊躇(ちゅうちょ)なく」追加緩和措置を講じると表明し、米欧の中央銀行と足並みをそろえて緩和バイアスを強めた。30日の会見で黒田東彦総裁はモメンタム失速の最大のリスク要因に海外経済動向を挙げた。海外経済の回復が一段と後ずれする場合、日銀が「予防的」な対応に出るかが当面の焦点になりそうだ。

 7月30日、日銀は金融政策決定会合で、物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が失速するおそれが高まる場合は「躊躇(ちゅうちょ)なく」追加緩和措置を講じると表明し、米欧の中央銀行と足並みをそろえて緩和バイアスを強めた。写真は黒田総裁、日銀本店で撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

決定会合では、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の継続を決める一方、声明文で「物価上昇のモメンタムが損なわれるおそれが高まる場合には、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」ことを表明した。

これまでも同様の見解を繰り返してきた黒田総裁だが、会見では従来の発言よりも「一歩前進」した表現で明文化したと強調。「緩和に向けてかなり前向きになったといえる」と述べるとともに、「モメンタムが損なわれるおそれ」と明記したことは「予防的と言ってもいい」と踏み込んだ。

今回の日銀の対応について、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト(元日銀審議委員)は同日のリポートで「追加緩和のハードルは、今までよりも一段下がったとの印象がある」と述べている。

実際に追加緩和措置を講じるのか、カギを握るのが海外経済の動向だ。黒田総裁は物価のモメンタムを判断する要素として「1つは需給ギャップのプラスが続いていくかどうか。もう1つは物価上昇率が上がっていった時に、企業や家計の物価上昇予想がどう上がっていくかをチェックしていく」と説明。

特に需給ギャップの動向について、米中貿易摩擦などが長引いて「世界経済の回復テンポがさらに遅れると、日本経済を支えている内需にも影響出るおそれがある」と警戒感をにじませた。

<政策対応、今秋が焦点か>

その海外経済は帰すうが見えない米中貿易摩擦に加え、ジョンソン英首相の就任で、10月末までに英国が欧州連合(EU)から合意なき離脱を決断する可能性が高まるなど一段と先行き不透明感が強まっている。

国内では10月に消費税率の引き上げを控えており、日銀内でも「仮に10月時点で海外経済が減速を続けている場合、わが国経済を下押しする影響が大きくなる可能性がある」(桜井真審議委員)など、内需の息切れを警戒する声もある。

海外経済の下振れリスクの高まりをにらみ、安倍晋三首相は22日の会見で「下振れには躊躇なく、万全の対策を講じる。これまで以上に積極果敢な経済政策に取り組む」と表明している。

この日の会見で黒田総裁も、そうした政府の考えとは「平仄があっている」と発言。政府・日銀が歩調を合わせ、10月ごろを念頭に追加経済対策のパッケージとして、日銀の追加緩和を含んだ財政・金融政策の「協調」を図る可能性も出てきたと言えそうだ。

それでも、超低金利政策の長期化による金融機関経営への影響など、金融緩和の副作用が拡大する中で、日銀に残された手段が少ないのも事実。

黒田総裁は会見で、あらためて長短金利目標の引き下げや資産買い入れの拡大などを挙げて「追加的手段はいくつもあり得る」と強調する一方、緩和策を講じる場合には「その時の経済や物価、金融情勢を考慮して、副作用不に十分目配りして適切な措置を取る」とも語った。

追加緩和手段は金融システムへの影響にも配慮した新たな領域が模索される可能性もある。

伊藤純夫 編集:田巻一彦

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