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成長には労働など供給力強化が不可欠、今が議論の好機=日銀総裁

 5月15日、日銀の黒田東彦総裁は、物価目標2%を達成した後、需給ギャップのプラス幅拡大で物価は強含んで推移するとの認識を示した。写真は先月、都内での記者会見で語る同総裁(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 15日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は15日午後、米コロンビア大のビジネススクールが都内で開催したイベントで講演し、労働需給の問題など日本経済の成長には供給力を強化することが重要だということがはっきりしてきたとし、今こそ成長に向けた課題を議論すべきと訴えた。

総裁は、雇用情勢のひっ迫など供給制約が表面化する中で「日本経済が中長期に成長するためには、供給力を強化することが重要だということもはっきりしてきた」と提起し、「今が日本経済が抱える中長期的な課題を解決していく好機」と訴えた。足元の一部業種での人手不足は政府の公共投資や駆け込み需要への対応など「一時的な現象も含まれる」としたが、「趨勢的な人口減少と高齢化のもとで、近い将来、労働供給がさまざまなかたちで問題になりうることは疑いない」と断言。人手不足という現象を推進力に、「成長力の問題を広く議論し、解決を模索していくべきだ」とし、これがデフレ脱却と日本経済の復活を実現するための「最後の、最も重要なピースになると信じている」と語った。

金融政策運営では、日銀が目標に掲げる2%の物価安定の実現に向けた「強いコミットメント」を強調。日銀の見通しに沿って物価が2%の目標に向かっていくのであれば、「量的・質的金融緩和を着実に推進する」と指摘。一方、「そうでないのであれば、2%を実現するように調整を行う」とし、「何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じ、物価安定目標を実現するために必要になれば、ちゅうちょなく調整を行う」と繰り返した。

異次元緩和は導入から1年が経過し、「所期の効果を発揮している」と指摘。輸出の回復が遅れているが、日本経済の潜在力との差を示す需給ギャップの改善で物価上昇圧力が強まっていくとし、物価は2016年度までの期間の中盤(15年度ごろ)に目標である2%程度に達する可能性が高いとした。

その後は「需給ギャップのプラス幅が拡大することから、(物価は)強含んで推移する」との見通しを示した。

消費増税の影響については、3月まで「駆け込み需要が相応の規模で確認された」としつつ、駆け込みの反動は「今のところおおむね想定の範囲内」との企業ヒアリング結果を披露した。

*内容を更新して再送します。

竹本能文 伊藤純夫 編集:山川薫 宮崎大

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