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資金需要は徐々に落ち着き、特別プログラム4月以降は未定=日銀総裁

[名古屋 15日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は15日、名古屋市で開催した金融経済懇談会で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業の資金繰りは対面型サービスなど一部の中小企業で厳しさが残っているものの、経済活動の再開が進む中で資金需要は徐々に落ち着きつつあると述べた。ただ、資金繰り支援特別プログラムについては、来年3月末に期限を迎えた後どうするかはまだ決めていないという。

 日銀の黒田東彦総裁(写真)は11月15日、名古屋市で開いた金融経済懇談会で挨拶し、新型コロナウイルス感染症による企業の資金繰りへの影響について、売上低迷が続く業種や中小企業に限定されつつあると指摘した。2019年12月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

日銀は早ければ12月の金融政策決定会合で、特別プログラムの延長の有無を決める。黒田総裁は午後の記者会見で、特別プログラムの取り扱いは「今後の感染動向に加えて、企業金融の動向を十分分析して適切に判断していきたい」と話した。

コロナオペを利用した金融機関が付利を得られることでコールレート上昇など副作用が出ているのではないかとの質問には、現在のイールドカーブ・コントロールの枠組みの下で「適切なイールドカーブが維持されている」とし、そうした副作用が出ているとは考えていないと述べた。

<円安、プラスの効果がマイナスを上回る>

黒田総裁は午前の挨拶で、コロナワクチンの普及と感染者数の大幅減少により、経済活動の正常化に向け「ようやく薄日が差し始めている」と指摘。景気回復のメカニズムは崩れておらず、来年前半には感染拡大前の2019年の水準を概ね回復できるとの見通しを示した。

半導体不足については「世界的な需要の伸びが供給の伸びを超えているので、影響はやや長引く可能性はある」としつつも、経済が来年前半にはコロナ前の水準を回復するとの見通しに変更はないとした。

外国為替市場での円安進展については「日本経済全体で見れば、今のところ輸出の増加や海外収益の拡大といったプラスの効果が原材料コスト上昇によるマイナスの影響を上回る」と指摘。円安により円建ての原材料コストが押し上げられる一方、輸出金額や海外子会社の収益が押し上げられるため「円安が経済に及ぼす影響を評価するに当たっては、プラス・マイナス双方の影響を総合して考える必要がある」と話した。

<物価上昇率1%でも緩和は弱めず>

消費者物価について、黒田総裁は、来年半ば頃には需給ギャップがプラスに転化し、消費者物価は1%程度まで徐々に上昇率を高めていくとの見通しを示した。もっとも、物価上昇率が1%になっても2%の目標にはなお距離があり「その時点で金融緩和措置を緩めたり、撤回することは全く考えていない」と会見で語った。

海外中銀の中には金融緩和の縮小を模索する動きが出ているが、日本はまだ物価目標に達しない見通しであるため、目標実現に向け現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で強力な金融緩和を粘り強く続けていくと改めて強調した。

<中国恒大問題>

黒田総裁は懇談会で、中国恒大集団の債務問題について「世界の経済や金融に大きなショック与える問題ではなさそうだ」と指摘。中国経済は従来のような高度成長は見込めなくなるものの、恒大問題で「中国経済がすごく落ちるということにはならないのではないか」と話した。

コロナの感染拡大で金融経済懇談会はオンライン形式で行われてきたが、この日は黒田総裁が名古屋市に出張して対面で開催した。金融経済懇の対面開催は20年2月以来。

(和田崇彦、杉山健太郎 編集:田中志保、石田仁志)

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