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黒田日銀総裁「緩和の永続望まず」、物価達成後に政策正常化へ

[東京 19日 ロイター] - 日銀は18、19日の金融政策決定会合で、現行政策を維持する方針を決めた。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、物価2%の早期実現に向けて金融緩和を続ける考えを示す一方、大規模緩和を「いつまでも続けたいということはない」と発言。

 9月19日、日銀の黒田東彦総裁は、金融政策決定会合後に記者会見し、「金融緩和にしても金融引き締めにしても、いつまでも続けたいということはない」と述べた。写真は日銀本店で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

物価目標を達成した上で、金融政策を正常化させたい意向を表明した。

金融緩和を縮小する「出口戦略」を巡っては、安倍晋三首相が14日の自民党総裁選の討論会で「(異次元緩和を)ずっとやっていいとは全く思っていない」と発言した。

黒田総裁は会見で、物価目標の実現に向けた緩和策を「止めたり、途中で変えたりする考えは持っていない」と改めて強調する半面、「金融緩和にしても金融引き締めにしても、いつまでも続けたいということはない」とした。「物価目標をできるだけ早期に達成して正常化プロセスに入りたいというのは、どこの中央銀行でも同じだ」と述べた。

総裁が「物価2%の達成」を出口の前提条件とする一方、首相の発言の根拠は定かではないが、いずれも金融政策の正常化への意欲がにじんだ格好だ。

金融政策は7月の前回会合で決めた方針を維持した。長期金利目標はゼロ%程度としつつ、「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」と明記。上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)の買い入れ目標額や、「市場の状況に応じて、買い入れ額は上下に変動しうる」との表現も据え置いた。

黒田総裁は、政策修正後の国債市場動向について「ひところよりも取引が活発化し、国債の値動きも幾分増している」と分析した一方、「例年夏場は市場取引が細りやすく、実勢が見極めにくい。このタイミングで今回の措置の効果を評価するのはやや性急だ」と述べた。

また、通商問題など海外発のリスク要因を巡っては「メインシナリオを変える状況ではないが、やや強まったとみている」と指摘した。米中の貿易摩擦が長期化する中、「当事国だけではなく、サプライチェーンを通じて世界経済全体に影響を及ぼす可能性がある」との認識を示した。

国内で立て続けに発生した台風や地震などの自然災害については、経済に与える影響は「概ね一時的なものにとどまる」と予測。訪日外国人による消費への影響が長期化しないか、引き続き注視すると述べた。

*内容を追加します。

梅川崇

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