May 29, 2019 / 2:09 AM / 3 months ago

非伝統的な金融政策、平時の標準手段となるか興味深い論点=黒田日銀総裁

[東京 29日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は29日、本店で開催している国際コンファランスであいさつし、中央銀行によるフォワードガイダンスの活用や、バランスシートを操作する量的緩和政策などの非伝統的な金融政策手段について、平時においても標準的な政策手段となり得るかは興味深い論点の一つであるとの見解を示した。

 5月29日、黒田東彦日銀総裁は、中央銀行によるフォワードガイダンスの活用や、バランスシートを操作する量的緩和政策などの非伝統的な金融政策手段について、平時においても標準的な政策手段となり得るかは興味深い論点の一つであるとの見解を示した。写真は昨年11月に東京で撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

リーマン・ショック後の世界的な金融危機を受け、多くの主要国の中央銀行が大規模な資産買い入れによる量的緩和政策やフォワードガイダンスの活用など非伝統的な金融政策手段を採用している。

黒田総裁は、伝統的な金融政策における名目金利操作が「実行下限制約に直面」している中で、非伝統的な金融政策が「負のショックに対応する際に有効であることは、近年の経験が示すところ」と評価した。

その上で、「その有効性や波及メカニズムは金融情勢や経済構造に依存する」と述べるとともに、「非伝統的な政策手段を今後どのように活用するのかという点も重要」と指摘。「特に、こうした政策手段が平時における標準的な政策手段となり得るかどうかは興味深い論点の一つ」と述べた。

実質金利を自然利子率よりも低く設定することによって景気を刺激する伝統的な金融政策の枠組みは「2つの大きな課題に直面している」と指摘。

自然利子率の「趨勢的な低下に対する懸念が広がっている」とともに、「多くの先進国では、経済活動がはっきりと改善する中にあっても、非常に緩慢な物価の動きが観察されている」とし、「この事実は、インフレ目標に対する信認についての懸念を惹起(じゃっき)するものといえる」と語った。

また黒田総裁は、低金利環境の長期化と金融機関のリスクテイク姿勢や金融安定との関係について、「過度なリスクテイクが助長される」との見解がある一方、金利がある一定水準を下回ると、かえって貸し出しなど金融仲介機能に悪影響を与えるとする「リバーサル・レート」議論にも言及。これについては「実証分析は増えてきているが、現時点でこれらのリスクの特性や、その確率分布は必ずしも明らかになっていない」と述べるにとどめた。

<前ECB総裁、日本の財政拡大は「誤り」>

講演したトリシェ前欧州中央銀行(ECB)総裁は、中央銀行が特定の期間内に目標のインフレ水準に導くことができると考えるのは「正しくない」と述べ、厳格なインフレ目標に固執することに警告した。

日銀については、これまで金融政策を大胆に決定してきており「(それが)十分でないとは誰もいえない」と指摘。日本の低インフレの背景として、不十分な構造改革や人口構成、賃金の伸びの鈍さなどを挙げ、物価2%目標に沿って成長率を高めるには、金融政策だけではなく「政府や社会の努力も必要」と語った。

また、物価を押し上げるために日本が財政刺激策を強化すべきかとの質問に対し、国の膨大な公的債務を考えれば「非常に大きな誤り」になるだろうと述べた。

国際コンファランスは「低インフレ・低金利環境のもとでの中央銀行デザイン」をテーマに30日まで開催される。

*内容を追加しました。

伊藤純夫 編集:田中志保

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