June 20, 2019 / 10:22 AM / a month ago

日銀が金融政策維持 総裁、物価失速なら追加緩和「躊躇なく」

[東京 20日 ロイター] - 米欧の中央銀行が金融緩和姿勢を強める中、20日に開かれた金融政策決定会合で日銀は、現行の金融緩和政策の継続を賛成多数で決定した。黒田東彦総裁は、その後の会見で物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれる状況になれば、「躊躇(ちゅうちょ)なく追加金融緩和を検討する」と強調し、追加緩和も辞さない考えを示した。

 6月20日、米欧の中央銀行が金融緩和姿勢を強める中、金融政策決定会合で日銀は現行の金融緩和政策の継続を賛成多数で決定した。黒田東彦総裁(写真)は、その後の会見で物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれる状況になれば、「ちゅうちょなく追加金融緩和を検討する」と強調し、追加緩和も辞さない考えを示した。日銀本店での会見で撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

<YCC、国債増発でも金利上がらない仕組み>

米連邦準備理事会(FRB)は、19日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置く一方、不確実性の増大などに対応するため、年内に最大0.5%ポイントの利下げを行う可能性を示唆。欧州中央銀行(ECB)もドラギ総裁が18日、物価目標を達成できない状況が続いた場合、利下げや資産買い入れなどの金融緩和を再度行うと明言していた。

こうした中で迎えた日銀の決定会合では、大方の市場予想通り金融政策の現状維持が決まったが、その後の黒田総裁の会見では、先行きの金融政策運営と追加緩和策に質問が集まった。

総裁は「日銀を含めた中央銀行は、自国の経済物価の安定を目的に適切な政策に努めている」と米欧中銀の政策運営と距離を置く姿勢を示す一方、「(物価2%目標に向けた)モメンタムが損なわれる状況になれば、ちゅうちょなく追加金融緩和を検討する」と明言した。

緩和手段については長短金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速などを挙げ、「これらを組み合わせることを含め、その時々で適切に対応する」と表明。政策運営にあたっては、「金融仲介機能に及ぼす影響も考慮している」とも語った。

市場では、低金利長期化による金融仲介機能への影響など副作用の拡大も踏まえ、金融緩和の限界を指摘する声が多く、会見では財政政策と金融政策の協調に関する質問も出た。

総裁は「政府と政策の協調を行うことは日銀法にも書いてあり、問題ない」と述べるとともに、「イールドカーブ・コントロール(YCC)は、国債を増発しても金利が上がらないようにしている」と発言。国債増発で金利に上昇圧力がかかっても、目標に沿った長期金利誘導の下で、「結果的に、長期金利が上がるということは防止される」との認識を示した。

<総裁発言受け、長期金利が上下>

会見では海外金利の低下に連動するかたちで低下している長期金利動向に関する見解も注目された。日銀は昨年7月の金融政策決定会合で、「ゼロ%程度」としている長期金利の変動容認幅をそれまでの上下0.1%程度から「その倍程度に変動し得る」ことを決めたが、じりじりと下限のマイナス0.2%程度に接近しているためだ。

この点について総裁が「(変動幅を)過度に厳格に捉える必要はない。弾力的に対応することが適当だ」と発言すると長期金利が一時、マイナス0.185%まで低下。その後、イールドカーブのフラット化が「現状やや進んでいることは注視している。必要があれば適切な対応をとる」と述べてマイナス幅を縮小するなど、市場が神経質になる局面が見られた。

みずほ総合研究所・市場調査部上席主任エコノミストの野口雄裕氏は、総裁会見について「追加緩和に関する手段は以前に比べて準備はしている印象」とし、長期金利に関しては「今の金利低下は海外の金利低下によるもので、長期金利がマイナス0.20%を下回ったとしても、ある程度許容する面がありそうだ」との見方を示している。

伊藤純夫 清水律子

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