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日銀総裁会見:識者はこうみる
2017年9月21日 / 09:28 / 3ヶ月前

日銀総裁会見:識者はこうみる

[東京 21日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は21日、金融政策決定会合後の記者会見で、上場投資信託(ETF)の買い入れは金融緩和の一環であるとして、株式市場にくすぶる買い入れ縮小観測をけん制した。市場関係者の見方は以下の通り。

 9月21日、日銀の黒田東彦総裁(写真)は、金融政策決定会合後の記者会見で、上場投資信託(ETF)の買い入れは金融緩和の一環であるとして、株式市場にくすぶる買い入れ縮小観測をけん制した。写真は21日日銀で撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

<野村証券 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏>

きょうの日銀金融政策決定会合で唯一のサプライズだったのが、新たにメンバーに加わった片岡審議委員が反対票を投じたこと。しかも、事実上、追加緩和を主張したことだった。この点に関して、黒田総裁は会見で「具体的なコメントは控えたい」と述べている。

日銀は、黒田総裁がリードする今年度いっぱいは少なくとも、現状の長短金利操作を維持する方向だろう。

金利固定戦略は、金利差に強く影響される為替の世界においては「他人頼み戦略」を意味する。日銀は自ら円相場に働きかけることを放棄しているからだ。

幸い、20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表では、米国の「今年あと1回、来年3回」という従来の利上げシナリオが維持され、米金利上昇、ドル高が加速した。サプライズだったのは、中心意見だけでなく、ほとんどのメンバーが、今年と来年について、利上げ想定を引き下げていないことだった。

今後は、10月に開始される米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート縮小に対し、米国株が持ちこたえられるかどうかを重視している。このタイミングで米株が崩れるリスクを想定し、「追加利上げは困難」と見ている市場参加者が多いためだ。

実際には、企業業績は上方修正が相次ぐ可能性が高く、10月の「難所」を米国株は乗り切ると見ている。それとともに、米追加利上げへの市場の織り込みも加速する公算が大きい。

ドル全面高が想定される中、ヘッジファンド勢は「売り」の通貨として円を選ぶ確率が高まっている。ユーロ、ポンド、カナダ、いずれの主要通貨にも中央銀行の「タカ派化リスク」が意識されるためだ。

その中で、日本の金利固定戦略はいっそう際立ってくる。世界的な金利上昇局面にあって、円は「もっとも金利が上がりにくい通貨」として全面安に近い展開になり得る。

ドル円は10月中に115円に到達すると予想している。

衆院解散・総選挙については、仮に安倍政権継続を投資家に意識させる場合、「黒田総裁の積極緩和路線も長期化」と解釈され、円売りをサポートする可能性があるだろう。

<いちよしアセットマネジメント 上席執行役員 秋野充成氏>

総裁会見の中身自体は、マーケットへの影響はほとんどないだろう。出口戦略について積極的に話をしていた訳ではない。プライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)黒字化目標の先送りの問題についても、実際にPBの目標が先送りされた場合に金融政策がすぐに変更されるかというと、そうはならないとみている。

米FRB(連邦準備理事会)の10月からの資産縮小決定は想定の範囲内だった。12月の米利上げ観測も高まったが、FRBがタカ派的な金融政策に転換したということではない。あくまでもハト派的な金融政策の中での動きだ。日銀の金融政策も、これまでと同様に現状維持となった。市場が予想していた通りに日米の金融政策がとられていることに対しては安心感がある。海外リスク資産や日本株には追い風となるだろう。

日銀によるETF(上場投信)買いについては、従来通りの回答だったが、米国では企業の自社株買いが相当、活発化している。これは低金利環境が背景にあるためだ。ただ日本企業は自社株買いをそれほど積極的には行っていない。日銀が企業の代わりに株式を買っている。出口をどうするのかという議論については、国内企業に買い取りを迫るなどの選択肢があると思うが、低金利環境である限りは、日銀のETFの買いがいびつな話になるとは言いにくい。

<SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト 岩下真理氏>

衆院解散・総選挙がささやかれている中で、黒田総裁の発言は言質を取られないように無難な内容が目立った。円債も目立った反応が見られなかった。

イールドカーブ・コントロール(YCC)政策導入から1年が経過し、国債市場の機能低下について総裁は「客観的な指標と市場関係の見方に若干のずれ」と指摘し、問題はないとの認識を示した。両者の認識の違いは平行線のままだ。

黒田総裁は、物価2%目標は政府との共同声明にあり、目標変更や放棄は適切でないと述べた。しかし、日銀の政策運営で物価目標の解釈の柔軟化は可能。YCCの総括検証し、物価目標の解釈を議論すべきだ。このままだと、黒田総裁の後任人事が決まるまで、のらりくらりと質問をかわす状況が続くのだろう。

今回の日銀会合では、新任の片岡委員が現行の政策維持に反対の「のろし」を上げた。しかし、対案が出てこなかったため、具体的な緩和強化策がわからない。早ければ次回10月の会合時に、具体的な提案が出てくるのかもしれない。

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