June 1, 2018 / 8:00 AM / 19 days ago

日銀オペ減額後に円高進まず、市場の「出口」観測後退を反映

[東京 1日 ロイター] - 日銀がオペを減額したにもかかわらず、今年1月のように円高は進まなかった。海外情勢が不安定化する中で、日銀の「出口」観測は後退。オペ減額と政策変更を結び付ける見方が後退していたことが大きな背景だ。さらにオペの増減に政策意図はないとする日銀の考えが市場に浸透したこともあるとみられている。日銀では国債買い入れの「ストック効果」を強調しており、市場が安定している局面では今後も減額が模索されそうだ。

 6月1日、日銀がオペを減額したにもかかわらず、今年1月のように円高は進まなかった。海外情勢が不安定化する中で、日銀の「出口」観測は後退。オペ減額と政策変更を結び付ける見方が後退していたことが大きな背景だ。写真は為替取引の担当者。都内の金融機関で2015年1月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

<意外感あった減額>

意外感はあった。日銀が31日の夕方に発表した6月の長期国債買い入れ方針は、全年限でオファー額据え置き。今回、オペ減額が通告された5─10年ゾーンの金利は、低いとはいえゼロ%までには余裕があり、低下し過ぎていたわけでもなかった。

このため、今年1月に日銀が超長期国債を対象にオペ減額を発表したときのように、金融引き締め懸念から円高が進んでもおかしくなかった。

しかし、今回は1月と逆に反応した。日銀が午前10時10分、オファー額を4500億円から4300億円に200億円減額すると発表した直後に108円後半から約20銭ほど円高に進んだドル/円は、その後109円前半まで戻し、円安方向に振れた。

「欧州や新興国でリスクオフ材料が相次ぐ中で、日銀による金融正常化観測が後退していた。1月にオペ減額を出口政策に結び付けた海外勢にも、オペの増減に政策意図はないという日銀の情報発信が浸透したのではないか」と岡三オンライン証券の投資戦略部部長、武部力也氏はみる。

ドル/円が円安方向に振れたことについては「アルゴがいったんドルを売ったが、その後、下げの勢いが強まらなかったので買い戻された」(外銀)との観測も出ている。

<流動性低下を警戒か>

では、なぜこのタイミングだったのか──。

実は今回減額した5─10年ゾーンは今年2月に4100億円から4500億円に400億円増額されていた。急激な金利上昇に伴う「緊急措置」的な対応だったとみられているが、その後もオペ額は維持されていた。

米国の10年国債利回りが3%を突破し、約7年ぶりの高水準を付けるなかでも、日本の長期金利は狭いレンジで安定。日銀による国債買い入れという需給要因が金利低下を促していることがはっきり示されるようになっていた。

「市場が落ち着けばオペを減らしたいと日銀も考えていたのではないか。欧州政治不安などリスクオフ材料はくすぶるが、足元では、米長期金利が低下している割にドル/円も落ち着いていた」とみずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は話す。

2018年度の国債発行計画では、カレンダーベースの市中発行額が前年度当初比で7兆円減額された。日銀もそれに合わせて国債購入額を減らす必要があるとみられていたが、実際は維持され、日本国債の流動性は一段と低下。長期金利の指標銘柄である新発10年債は、今週28日と31日に取引が成立しなかった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニアマーケットエコノミスト、六車治美氏は「日銀として、債券市場の機能度・流動性低下に対する警戒感があった可能性がある」との見方を示している。

<強まるストック効果>

日銀オペの「威力」は日に日に増している。購入した国債は累積的に日銀内に溜まってきており、いわゆる「ストック効果」が表れるようになってきているためだ。

黒田東彦日銀総裁は昨年12月の講演で「ストック効果がしっかりと働くもとで、先行き、国債の需給がタイト化していった場合、他の条件が一定であれば、一単位の国債買入れによる長期金利の押し下げ効果は、より大きなものになるはず」と話している。

このため金利を固定するイールドカーブ・コントロール政策を維持するためにも、オペの減額が今後必要になってくる可能性が大きい。銀行や保険会社、年金が保有する国債が少なくなってきており、市場から買える国債が乏しくなってきているという事情もある。市場を取り巻く環境に大きな変化がなければ、今後も国債買い入れオペは「減額含み」になるとみられる。

ただ、次回以降も、市場が円高方向に反応しないとは限らない。「出口」観測が強まる状況になれば、オペ減額が結び付けられてしまう可能性がある。リスクオフ局面では円高も進みやすく、減額は格好の円買い材料にされてしまうだろう。

SMBC日興証券のチーフ金利ストラテジスト、森田長太郎氏は「日銀としては、徐々に国債購入額を減らしてはいきたいだろうが、あくまで市場をみながらということになりそうだ」と話している。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below