October 3, 2019 / 8:46 AM / a month ago

アングル:日銀、イールドカーブのスティープ化へ本腰

[東京 3日 ロイター] - 日銀がイールドカーブのスティープ化に本腰を入れ始めた。黒田東彦総裁が超長期債利回りの行き過ぎた低下に懸念を表明、10月の国債買い入れ計画では超長期債の下限をゼロに引き下げた。その翌日に行われた10年債入札は荒れた展開となり、長期金利が急騰。日銀オペへの不安が表面化したかたちとなった。市場が疑心暗鬼を強めるなか、7日に予定されているオペで、日銀の本気度が試されることになりそうだ。

 10月3日、日銀がイールドカーブのスティープ化に本腰を入れ始めた。写真は都内で2009年9月撮影(2019年 ロイター/Yuriko Nakao)

<テール29銭の衝撃>

需要が足りず、ポコンと底が抜けたようなテールだ――。不調に終わった1日の10年債入札を受け、財務省のある幹部はこう話した。対象国債の人気度を示す「テール」(平均落札価格と最低落札価格の差)は29銭。直近の入札ではテールが2―3銭だっただけに、その不人気ぶりが顕著となった。10年債入札を受けて国債先物は急落、長期金利は急騰した。

財務省の別の幹部は、10年債入札の前日に日銀が公表した国債買い入れ計画を受けて投資家が疑心暗鬼に陥り、目線がそろわなかったと話す。

市場関係者からは「これまではマイナス金利の国債を買っても、いずれ日銀がオペで買い取ってくれるという安心感があったが、そこに不安が生じた」(国内証券)との指摘が出ていた。

<超長期債利回り、過度な低下抑止へ「有言実行」>

日銀は9月30日に公表した国債買い入れ計画で25年超の超長期債の下限をゼロに設定、前回の100億円から引き下げた。また、国債の買い入れについて「必要に応じて回数を変更することがある」と明記。「必要に応じて回数を増やすことがある」としていた前回の表現を修正した。

8月の金利低下局面を受け、日銀は「口先介入」を強めてきた。黒田東彦総裁は9月6日掲載の日本経済新聞のインタビューで、超長期債の利回りが「ちょっと下がり過ぎだ」と発言。同24日の記者会見では「超長期債の購入を減額すれば、(超長期金利が)下がり過ぎるのを防止する効果はある」と述べた。

10月の国債買い入れ計画は、一連の黒田総裁発言を後付けするものとなった。大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「9月の日経の黒田総裁インタビュー記事から始まり、超長期ゾーンが下り過ぎではないかというメッセージに対して、オペという手段をもって調整する動きを日銀は有言実行している」と指摘する。

今後、再び超長期金利が過度に低下すれば、日銀は買い入れの減額を通じて金利低下の抑制に動く可能性が高い。市場では「オペがスキップされる(見送られる)かもしれない」(別の国内証券)との警戒感も強い。

ある日銀関係筋は「超長期金利の行き過ぎた低下には対応が必要。一方で、市場機能の維持も重要。そのバランスをとることが大事だ」としている。

<蘇る3年前の「総括検証」>

2016年9月、日銀は金融緩和策の「総括的な検証」を行い、長短金利を操作する「イールドカーブ・コントロール」(YCC)を打ち出した。黒田総裁は「総括検証の考え方は今でも変わっていない」(今年9月24日の会見)と述べている。

日銀は総括検証で、YCC運営の基本方針を示した。短中期金利の低下は、企業や家計の資金調達時の金利低下を通じて実体経済への影響が相対的に大きいとする半面、長期・超長期金利の過度な低下は、保険や年金などの運用利回りを低下させるほか、企業における退職給付債務の増加などにつながっていると指摘。「将来における広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらし、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性には留意する必要がある」と明記している。

布野幸利審議委員は3日の会見で「超長期金利が下がりすぎるのは、マインドも冷やすし良くないことだ」と述べた。

<試される本気度>

10年債入札では、投資家が「足並みの乱れ」を見せた。日銀は7日に超長期債の買い入れオペを予定している。財務省の幹部は、オペを通じて市場は落ち着きどころを探るとみている。

ただ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の戸内修自シニア・マーケットエコノミストは「金利が上がれば、買いたい投資家も多いだろう。日銀の思い通りにいくかどうかは、これから見ていかないとわからない」と話している。

取材協力:木原麗花、志田義寧、梶本哲史、金子かおり、伊賀大記 編集:石田仁志

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