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政策枠組みの持続性強化で意見、追加緩和の必要性言及も=日銀会合意見

[東京 10日 ロイター] - 日銀は10日、4月24─25日に開催した金融政策決定会合における主な意見を公表した。会合では、2%の物価安定目標達成に時間を要する中、金融政策枠組みの強化に関して意見が出た。また、追加緩和も「相応の妥当性がある」などとし、その必要性に言及する委員もいた。一方で、金融緩和の副作用を懸念する声も引き続き出ている。

 5月10日、日銀は、4月24─25日に開催した金融政策決定会合における主な意見を公表した。会合では、2%の物価安定目標達成に時間を要する中、金融政策枠組みの強化に関して意見が出た。写真は会見する黒田日銀総裁(左)。昨年10月に日銀本店で撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

物価安定目標実現まで時間を要する中で「経済・物価・金融情勢を踏まえて適宜適切に金融政策の枠組みに調整を加え、その持続性を強化すべき」、「政策枠組みの持続性強化につながり得る取り組みを不断に検討していく必要がある」など、政策の持続性強化に向けた意見が複数示された。また、「現在の強力な金融緩和の継続方針をより明確に示すことが重要」との声もあった。

政策面では、雇用や賃金が景気に遅行することなどを踏まえ、「金融政策は、これまで以上に景気動向に配慮して運営することが重要」との指摘があった。

さらには、「追加緩和論にも相応の妥当性がある。物価上昇のモメンタムが失われた時には、機動的かつ断固とした追加緩和を行うべき」、「景気が局面変化する中で、金融緩和の副作用が累積していくことを踏まえると、現時点で金融緩和を強化する必要がある」など、追加緩和を求める声も引き続き出ている。

一方で「現状以上の金利低下は、実体経済への効果よりも副作用を助長するリスクの方が大きい可能性がある」として、一段の金利低下を警戒する声もあった。

4月の会合で決められた政策金利に関するフォワードガイダンスの変更については「強力な金融緩和の継続への信認を強化するためには、極めて低い金利水準を維持する期間を具体的に示すなど、政策金利のフォワードガイダンスを明確化することが適当」、「導入時点に比べて海外経済を巡る不確実性が高まったことなどを踏まえ、見直しを検討するのが適切」といった指摘があった。

海外経済については「現段階では、本年後半に持ち直していくという見方が妥当」との見通しが示された。

ただ、今後の景気については「輸出、生産の減少が雇用、さらには消費にまで波及するかどうかが重要」との指摘があり、消費増税が消費の減少を早めるリスクがあるとの見方が示された。また、「海外経済の動向や消費税率引き上げの影響次第では、国内景気が後退に向かうリスクが引き続きある」との慎重な意見もあった。

また、足元の金融市長は落ち着いているものの、「先行き、実体経済と金融市場が共振して悪化する可能性には警戒が必要」との意見も出た。

物価については、プラスの需給ギャップ持続による上昇圧力と、家計の根強いデフレマインドや生産性上昇など抑制要因が併存しており、「2021年度にかけても不確実性が高い状況が続く」との見通しが示された。

こうしたなか、現実の物価が上がらないから予想物価上昇率が上がらず、予想物価上昇率が上がらないから現実の物価も上がらないという膠着状態に陥っていないか「検証が必要」との意見も出された。

4月の会合では、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の現状維持を賛成多数で決定した。ただ、政策金利のフォワードガイダンスを「海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」に変更、明確化した。

清水律子

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