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焦点:三菱東京UFJの資格返上、マイナス金利封印観測を誘発

[東京 8日 ロイター] - 三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー、PD)の資格を返上する方針が明らかになり、一部の市場関係者は日銀のマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策(QQE)に影響が出るのか注視している。

 6月8日、三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者の資格を返上する方針が明らかになり、一部の市場関係者は日銀のマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策(QQE)に影響が出るのか注視している。写真は黒田日銀総裁、都内で2月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

日銀は金融政策に全く影響がないと強調しているが、マイナス金利の「封印観測」も浮上。市場における6、7月の金融政策決定会合への関心度も急速に高まってきた。

<追随するか注目される他行の判断>

複数の関係筋によると、同行が財務省に返上の方針を打診したのは5月下旬。7月に実行される見通しだ。この判断の背景には、日銀のマイナス金利政策が長期化した際に、同行の損失が膨らみかねないとの懸念があるという。

この動きを見て、東京市場の一部の参加者の間では「日銀のマイナス金利政策に間接的ながら、制約が出かねないのではないか」(国内金融機関の関係者)との思惑が出ている。

複数の市場関係者の見方を総合すると、仮に日銀がマイナス金利幅を拡大させた場合、他のメガバンクやその他の金融機関がPDを返上する可能性があり、市場の混乱を回避する観点から、マイナス金利は現行の0.1%でしばらく維持し、他の緩和手段を検討するという見方だ。

<地方でマイナス金利不評の構図>

こうした見方と相通じる声が、政府・与党関係者から出ていることも、市場の内外で日銀のマイナス金利政策の先行きに対する関心を高めている。

ある与党関係者は「マイナス金利は、与党内での評判が悪い」と話す。地元の有力な支持基盤である地方の有力金融機関が、マイナス金利に反対する論陣を張って、与党の国会議員に働きかけているからだという。

また、ある政府関係者は、自民党の参院選公約から金融政策の部分が脱落しているのは、そうした与党内の雰囲気を反映していると話す。

メガバンクから地方金融機関まで幅広く、マイナス金利への抵抗感が強い背景としてある大手銀関係者は、1)当座預金の一部へのマイナス金利が金融機関にはペナルティ的色彩が強い、2)長期金利のマイナスに代表されるイールドカーブ全体の低下で収益が圧迫されている、3)短期間でマイナス金利が終了する可能性が不透明──と指摘する。そのうえで「デフレ脱却のために貸し出しを増やそうという空気はない」と話す。

振り返ってみると、三菱東京UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長が今年4月、都内の講演でマイナス金利は「銀行業界にとって短期的には明らかにネガティブだ」と批判したのも、今回の決断への伏線だったのではないか、との声が金融界から出ている。

<日銀はきっぱりと否定>

しかし、日銀内では、こうした見方をきっぱりと否定する声が圧倒的に多い。同行が離脱しても、国債市場や日銀オペへの影響はなく、むしろ国債から他のリスク資産へのポートフォリオリバランスが期待できるとの立場だ。

そのうえで、今後も必要と判断すれば、金利、量、質の「3次元」でちゅうちょなく追加緩和を断行していくとのスタンスを強調している。

また、ある大手銀幹部は、三菱UFJがPDから抜けても、応札義務に応じる分量が全体の88%から84%に低下するだけで「大騒ぎする必要はない」と断言。そのうえで「日銀の金融政策を制約することにならない。市場がそのように誤解するなら、日銀が動いてくる可能性が逆に高まる」と警戒感を示している。

先の国内銀関係者は「直近では6月、7月の日銀金融政策決定会合における追加緩和期待は、かなり低下していた。しかし、三菱UFJ銀の決断を受け、再び関心が高まってきたのは間違いない」と述べている。

竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦

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