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企業の価格転嫁抑制、いつまでも続かない=中曽日銀副総裁
2017年7月26日 / 03:40 / 5ヶ月前

企業の価格転嫁抑制、いつまでも続かない=中曽日銀副総裁

[広島市 26日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁は26日、広島市内で講演し、好調な景気と労働需給の引き締まりにもかかわらず、物価上昇圧力が弱い現状について解説した。

 7月26日、日銀の中曽宏副総裁(写真)は、広島市内で講演し、好調な景気と労働需給の引き締まりにもかかわらず、物価上昇圧力が弱い現状について解説した。写真は2015年4月日銀本店で撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)

根強いデフレマインドを背景に、企業はサービスの削減などで賃金上昇コストの価格転嫁を抑制しているが、こうした状況がいつまでも続くとは考えていないと表明。政府による構造改革の取り組みの重要性も指摘した。

中曽副総裁は現在の日本経済の状況について「強めの景気とやや弱めの物価」と表現。人手不足感も広がる中で、「本来は賃金の上昇と需要の増加を通じて、物価の上昇方向に作用する」はずだが、「現在のわが国では、こうした理論的なメカニズムがまだ十分にあらわれていない」との認識を示した。

その理由として企業が、1)賃金上昇コストをサービス削減などビジネス・プロセスの見直しによって吸収している、2)ITなどを活用した省力化・効率化投資を進めている、3)人材の柔軟な配置転換など既存の人的資源をこれまで以上に有効活用する取り組みを行っている──ことを挙げた。

労働生産性の向上によって労働コストの上昇を吸収し、価格転嫁を抑制しているとの見立てだ。

こうした企業の取り組みは「真剣で合理的な選択の結果」といえるが、背景には「賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が、わが国の企業や家計に根強く残っていることが影響している」との見方を示した。

もっとも、先行きも労働需給の引き締まり基調が続くとみられており、企業の価格転嫁抑制が「いつまでも続くとは考えていない」と強調。

需給ギャップの改善継続が見込まれる中で「企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくる」とし、「現実の物価が上昇してくれば、それに影響されて、中長期的な予想物価上昇率も高まることが期待される」と語った。

さらに、労働生産性の向上によって、長期的にみた経済の成長率が引き上げられれば、「成長期待や恒常所得の増加を通じて設備投資や個人消費が活発化し、需給ギャップの改善とともに、物価が上昇していく可能性もある」と指摘。

現在の人手不足感の強まりは「日本経済の構造改革を強力に促す究極の成長戦略としての側面がある」と述べるとともに、日銀の金融政策と政府の構造政策が「しっかり噛み合うことが、日本経済を持続的な成長軌道に戻す道を拓くことになる」と強調した。

伊藤純夫

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