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アングル:日銀共担オペ、金利低下の「秘策」となるか

[東京 23日 ロイター] - 日銀の共通担保資金供給オペが金利低下の「秘策」として注目されている。金融機関に低利の資金を供給し国債などの購入を促す一方、日銀の国債大量購入による流動性低下を防ぐ効果がある。ただ、日銀に差し入れることができる適格担保には限りもあり、大量の資金供給を続けることができるかは不透明だ。

 1月23日、日銀の共通担保資金供給オペが金利低下の「秘策」として注目されている。日銀本店で17日撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)

<5年物は順調な入札結果>

注目の5年物共通担保オペが23日に実施された。オファー額の1兆円に対し、応札額は3兆1290億円となった。入札方式で決まった金利は平均で0.145%。足元の新発5年国債の利回りは0.165%であり、その差が金融機関の利益となる。

市場では「応札額は2年物共通担保オペの初回より少ないが、応札倍率は上回っており、需要があることが示された」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の債券ストラテジスト、鶴田啓介氏)との声が出ており、順調な結果だったとの見方が多い。

共通担保オペは金利低下の新しいツールだ。共通担保オペ自体は元々あったが、前回の金融政策決定会合で内容を拡充。イールドカーブ・コントロール(YCC)のための金利抑制に利用しやすくなった。

入札方式の貸付期間を1年から10年に延長。23日に初めて5年物がオファーされた。市場の5年債利回りよりも低い金利で日銀から資金を借りることができれば、ほぼ確実に金利収入を得ることができる。

<適格担保は残り30兆円程度か>

共通担保オペは日銀の代わりに、金融機関のバランスシートを使って国債を購入する仕組みだが、日銀に差し入れる適格担保には限りがあり、金融機関は無制限に共通担保オペを利用できるわけではない。

共通担保オペを使って購入した国債を再び日銀に差し入れるということも考えられるが、金融機関のバランスシートが拡大し続ければ、バーゼル規制がある国際統一基準行はいずれ自己資本比率を高める必要が出てくる。

国際統一基準行以外でも、足元の金利上昇で含み損を抱える国債も多い。バランスシートを大きく拡大させる余裕がない金融機関も少なくないとみられている。

金融機関は、満期保有目的の有価証券として計上すれば簿価で計算され、金利上昇リスクは低減される。ただ、その半面で、キャピタルゲインは得られず、自由に売却もできないデメリットもある。

野村証券のチーフ金利ストラテジスト、中島武信氏は、共通担保オペに使える金融機関が保有する適格担保は残り約30兆円程度と試算している。ただ「スワップの金利低下が進んでおり、10兆円も実施すれば十分な金利低下効果が得られるのではないか」という。

<スワップ金利が急低下>

共通担保オペは、国債購入を促進する以外に、スワップ金利を低下させることで、国債金利を低下させる効果も大きいとみられている。「投機筋は、日銀が大量に購入してしまう国債市場よりも、手が及びにくいスワップ市場を通じて、裁定による金利上昇をねらっていた」(国内証券)という。

金融機関が、金利の高いスワップ市場で、固定金利を受け取り、変動金利を支払うトレードを行えば、効果としては、債券を買うオペレーションと同じになり、国債にも金利低下効果が生じる。金融機関にとっては、支払う変動金利が上昇するリスクがあるが、共通担保オペで調達した資金を、日銀の当座預金に預けるなどすれば、金利上昇局面では、当座預金の金利上昇によって、ある程度相殺できる。

実際、スワップ金利は18日に日銀が共通担保オペの拡充を発表後、大きく低下している。

ただ、BNPパリバ証券のチーフエコノミスト、河野龍太郎氏は20日付のリポートで「日銀による『補助金』でスワップ金利が押し下がるのであれば、スワップ市場においても、市場参加者の金利の将来経路に対する真の予想が反映されにくくなることを意味する」と指摘。市場機能の改善に寄与するかは大いに疑問としている。

今後は、共通担保オペのもう1つの方式である固定金利方式のオペがいつ実施されるか、10年物がいつ実施されるかなどが注目される。固定金利方式での貸付利率はこれまでゼロ%だったが、日銀が「金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促す観点」から、オペごとに日銀が決定する利率となった。日銀が考える整合的なイールドカーブとは、どういう形状なのかを見極めるためにも、貸付利率に関心が集まりそうだ。

(編集 橋本浩)

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