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焦点:日銀、物価の中心見通しの説明修正も 金融政策は現状維持の公算

[東京 12日 ロイター] - 日銀が17―18日の金融政策決定会合でまとめる「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、物価の中心的見通しに関する文言が若干強めに修正される可能性が高い。企業の値上げが広がり、予想インフレ率が高まっていることを反映する。ただ賃上げが進まなければ価格転嫁が広がらないリスクもあり、日銀内では物価上昇率が目標の2%を持続的に上回る展開は見込みづらいとの声が強い。金融政策は現状維持の公算が大きい。

 1月12日、日銀が17―18日の金融政策決定会合でまとめる「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、物価の中心的見通しに関する文言が若干強めに修正される可能性が高い。都内の日銀本店前で2020年5月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

<企業の値上げ姿勢に変化>

今回の展望リポートでは、2022年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の政策委員見通し中央値が前回の前年度比プラス0.9%からプラス1%台前半に上方修正される見通しだ。

政策委員見通しの引き上げと平仄を合わせるかたちで、展望リポートで示す「物価の中心的な見通し」を説明する文言も修正する可能性が高い。

前回の展望リポートを議論した昨年10月の決定会合以降、世界的な原材料価格の高騰が国内価格に一段と波及。11月の国内企業物価指数は41年ぶりの伸び率を記録した。12月日銀短観では、大企業・製造業の販売価格判断DIが1980年8月以来、大企業・非製造業が2008年6月以来の高水準となった。企業の1年後の物価見通しもプラス1.1%と15年9月以来の高い伸びとなった。

前回のリポートでは、企業の価格設定スタンスについて「徐々に積極化する」と表現していた。今回は、企業の価格転嫁を巡る姿勢の変化や中長期的な予想物価上昇率の高まりが、展望リポートに反映される可能性がある。

<リスクバランス>

日銀はこれまで、展望リポートで物価のリスクバランスを「下振れリスクの方が大きい」としてきた。各政策委員が自らの予測値についてリスクが上下どちらにあるかを示し、その分布を反映した書きぶりになっている。短期的な先行きに下方だけでなく上方リスクも生じている中、各委員の見通しと、そのリスク評価の分布次第で「おおむね上下にバランスしている」といった表現に変更される可能性がある。

<物価上昇の持続性に慎重な見方>

携帯電話通信料の大幅値下げの反動や、エネルギー価格上昇などにより、市場ではコアCPIが春先に2%に近づくとの観測が出ている。もっとも、日銀ではこうした一時的な要因による物価上昇の持続性について依然慎重な見方が強い。

給付金やコロナ禍で消費を手控えたことによる「強制貯蓄」が消費を下支えする可能性がある一方、値上げが消費者にどれだけ受け入れられるか不透明感が強い。岸田政権は企業に賃上げを求めているものの、現時点で賃上げがどの程度実現するかは見通せていない。これまでの日本の商慣行上、値上げに慎重な企業の価格設定行動が簡単に変わる可能性は低いとの見方も背景にある。

来年度や展望リポートの見通し期間最終年度である23年度を見通しても、物価上昇率は2%に届かない可能性が高いため、日銀は金融政策は現状維持とする公算が大きい。

足元で、新型コロナの変異株「オミクロン株」の感染が急拡大しているが、来年度にかけて経済が回復していくシナリオを大きく修正する必要はないとの見方が日銀では出ている。しかし行動制限が拡大・長期化すれば消費を通じ経済を冷やしかねないため、日銀は先行きのリスク要因として展望リポートで記述する方向だ。

(和田崇彦、木原麗花 取材協力:杉山健太郎 編集:石田仁志)

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