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焦点:日銀緩和維持、円安急伸もすぐ息切れ 景気減速と株安警戒

[東京 17日 ロイター] - 日銀が金融緩和政策の維持を決めたものの、17日のドルは134円ちょうど付近で大きな円安には至らなかった。主要各国が市場参加者の予想を上回る勢いで金融引き締めに動いていることで、景気減速や株安によるリスクオフの円高圧力が、今後強まりかねないとの警戒感が広がっているためだ。

 日銀が金融緩和政策の維持を決めたものの、17日のドルは134円ちょうど付近で大きな円安には至らなかった。写真は都内の日銀本店で2015年5月撮影(2022年 ロイター/Toru Hanai)

<金利差拡大期待の円安、10分で息切れ>

正午前、普段より早めの時間帯に日銀が会合結果を公表し、現行の金融政策維持が明らかになると、円相場は複雑な反応を見せた。

初期反応は定石通り、円が大きく下落した。金融緩和を維持する日本と、インフレ退治の引き締めを急ぐ主要各国との金利差が一段と拡大する可能性が高まり、円がさらに幅広く売られるとのシナリオだ。

円は対ドルで133円半ばから134.64円まで、発表からわずか5分間で1円を超える急落となったほか、前日に予想外の利上げで急伸したスイスフランに対しては7年5カ月ぶり安値を更新。ユーロも141円後半と前日から4円弱の円安が進んだ。

ところが、円安進行はそれで一巡。しばらく上下に変動した後、正午過ぎにはドルは134円ちょうど付近、ユーロも141円ちょうど付近のもみあいへ転じた。金利差拡大期待の円安は、あっという間に息切れした格好だ。

<年初来の円下落に底打ちの兆し>

変調の兆しは前週からあった。米国で10日に発表された5月消費者物価指数(CPI)が40年ぶり高水準を記録、連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げを経て、米株式市場は13日まで4営業日続落した。1月の最高値からみた下落率は2割を突破し、いわゆる弱気相場入りした。

それと前後して、ドル/円相場の雰囲気も変わる。米10年債利回りが5月のピークを再び上抜けて11年ぶりの3.5%台乗せをうかがう展開となっても、ドルの上昇は小幅にとどまるようになり、市場では株安と円高の相関を指摘する声が増えた。そして14日には、主要通貨間の対ドル騰落率で年初来、下落の一途だった円が底打ちし、切り返しに転じた。

上田東短フォレックスの営業企画室室長、阪井勇蔵氏はこう解説する。「ドル/円のメインドライバーが米金利であることに変わりはない。しかし、景気減速懸念が強まって株価の下げも目立ってきたので、リスク資産投資の手じまいが進むのではないかと、参加者の間に動揺が広がっている」。

<円キャリー再構築で株安との相関度上昇>

実際、黒田東彦総裁をはじめとして日銀が金融政策の変更に繰り返し否定的な見解を示す中、「海外投資家の間で円キャリートレードを再構築する動きが出始めていた」(外銀幹部)という。リスク資産投資の調達元を、もはや低金利通貨ではなくなったドルやユーロから円に切り替える向きが増えたことで、株価下落時に円を買い戻すニーズが増し、これまで鈍かった株安に対する円相場の感度も上がってきた、というわけだ。

スイス中銀の予想外の利上げに続き、欧州中央銀行(ECB)も7月に市場予想通り利上げに踏み切れば、今年後半にマイナス金利政策を維持するのは、主要国では日本のみとなる。「日本を除く全世界の中銀がインフレファイターとなった場合、経済への影響が見えづらい。このため、いったん(円売り)ポジションを縮小する動きが出ている」(FXcoinの取締役、上田眞理人氏)という。

ただ、ドルは134円前後で下げ渋っている。海外勢の間にはオーストラリア中銀が昨年、3年債金利の操作を断念して大きな利益を得た記憶が鮮明に残る。「同様に日銀も政策見直しを迫られる時が必ず来る、と信じて円を売り続ける参加者は決して少なくない」(別の外銀関係者)。

(基太村真司、坂口茉莉子 編集:久保信博)

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