February 28, 2020 / 8:41 AM / a month ago

アングル:「日米金利格差」が5年ぶり低水準、高まらない日銀の追加緩和期待

[東京 28日 ロイター] - 米国の長期金利が過去最低水準を更新する一方、日本の金利低下は限定的であり、「日米金利格差」は約5年ぶり水準に縮小している。その大きな要因は、日米の利下げ期待の違いだ。米国ではすでに3回程度の利下げ観測が市場で想定されているが、日本ではまだほとんど織り込まれていない。

 2月28日、米国の長期金利が過去最低水準を更新する一方、日本の金利低下は限定的であり、「日米金利格差」は約5年ぶり水準に縮小している。写真は都内で2016年3月撮影(2020年 ロイター/Yuya Shino)

<日米金融政策見通しの違い>

米10年債利回りは1.2%台と過去最低水準を連日更新している。一方、日本の10年債利回りは足元でマイナス0.16%まで低下しているとはいえ、まだ前年11月以来の水準。過去最低のマイナス0.3%まではまだ距離がある。

この結果、10年国債利回りの日米差は、足元で1.38%程度に縮小。年初の1.82%から大幅に縮まり、2015年2月以来、約5年ぶりの水準に縮小している。

その大きな要因は、日米の金融政策見通しの違いが大きいとみられている。

CMEグループのフェドウオッチによると、27日時点で米連邦準備理事会(FRB)は9月までに計0.75の利下げを行うと市場は織り込んでいる。1回0.25%とすると3回分だ。市場では「3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でシグナルを出し、4月に実施」(外資系証券)との見方が多い。

一方、日銀の利下げ期待は高まっていない。「今後2年を見渡しても、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)からみて1.6回程度」(野村証券のシニア金利ストラテジスト、中島武信氏)だという。

円債も先物主導で5年や7年ゾーンが買われているが、日銀の追加緩和期待を背景としたものではないとみられている。「商品投資顧問業者(CTA)がデュレーションロングを目的とした買いを入れている」(外資系証券)との見方がもっぱらだ。

<黒田総裁発言も一因>

日銀は副作用が強いマイナス金利の深堀りを行うのは難しいとみられているだけでなく、黒田東彦日銀総裁の発言も、日本の長期金利が低下にくくなっている一因だと指摘されている。

黒田総裁は21日の衆院財務金融委員会で、「(IMFが提言している)長期金利操作目標を短期ゾーンにシフトするということは、将来的にはあり得ると思う」とコメント。「現時点では考えていない」と述べたものの、市場では、金利目標を短期化することで長期や超長期金利をスティープ化させるのではないかという見方が強まった。

通常はリスクオフの流れが強まると、イールドカーブの動きはブル・フラットとなり、超長期債利回りが大きく低下する。しかし「黒田総裁の発言がきっかけで、ブル・スティープで反応し始めた」とモルガン・スタンレーMUFG証券のエクゼクティブディレクター、杉崎弘一氏は指摘する。ブル・スティープは短期主導の金利低下だ。

市場では「本気で実現するとは思っていないものの、数パーセントのリスクシナリオとして持たざる得ない」(外資系証券)とされ、5年や7年ゾーンが買われた。一方、世界的な金利低下にも関わらず日本の超長期ゾーンが出遅れる一因になっている。

<昨年の「トラウマ」も>

市場で日銀の追加緩和期待が高まらないのは、昨年痛い目にあった「トラウマ」をひきずっていることもある。

19年夏にかけ、日銀は追加緩和に踏み切るとのニュアンスで情報発信を繰り返し行った。少なくとも、市場はそう信じた。しかし、同年10月の金融政策決定会合で追加緩和を見送り、「まさに肩透かしを食わされた」(国内証券)恰好となった。

また、ドル/円は昨年8月に一時104円台までドル安/円高が進んだが、足元は108円台。円高が当時ほど進行していないことも、日銀の追加緩和期待が高まらない背景だ。

需給的には金利低下材料は多い。3月は10兆円を上回る国債大量償還や年度末の年限長期化需要も重なる。このため、3月末にかけては超長期債主導で金利はじりじりと低下し、イールドカーブはフラットニングしていくとみられている。

アセットマネジメントONEのグローバル債券担当、ファンドマネージャーの鳩野健太郎氏は「3カ月ごとに国債償還を迎え、そのたびに1%台後半や2%台の高クーポンがなくなる。再投資をせざる得ない投資家がプラス利回りを選好しやすい」と指摘する。

ただ、市場では日銀の追加緩和観測が高まらない限り、19年9月の様な中長期ゾーンの金利低下は難しいとの見方が強い。

グラフ作成:伊賀大記 編集:田中志保

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