February 12, 2020 / 2:30 AM / 17 days ago

アングル:「足元」みられた日銀、オペ減額でも超長期金利低下

[東京 12日 ロイター] - 日銀が国債買い入れオペを減額しても、市場では効果が乏しい状態が続いている。ここ半年で超長期債の買い入れは半分以下に縮小したが、黒田東彦総裁の意に反し、イールドカーブはフラット化。オーバーシュート型コミットメントがある中で、減額すればするほど減額余地がなくなると「足元」をみられ、金利低下材料にされてしまうという皮肉な結果になっている。

1月12日、日銀が国債買い入れオペを減額しても、市場では効果が乏しい状態が続いている。写真は円紙幣。2011年8月撮影(2020年 ロイター/Yuriko Nakao)

<フラット化する利回り曲線>

日銀は10日の超長期債買い入れオペで、「残存期間10年超25年以下」のオファー額を前回の1000億円から1200億円に修正した。日銀は今月から「10年超」の買入回数を3回から2回に減らす方針を示しており、300億円で据え置きだった「25年超」を合わせると、超長期債の月間買入額は3000億円と、1月に比べ900億円減少する。

オペ減額は日銀が市場から国債を買い入れる量を減らすことであり、本来は金利上昇要因だ。しかし10日の超長期金利は低下。前月末に公表された2月のオペ方針ですでに月間の減額方針が示されていたこともあるが、新型肺炎感染拡大によるリスクオフの金利低下圧力を跳ね返すことはできなかった。

日銀が超長期債オペ減額のペースを上げ始めたのは、昨年6月から。月間オファー額はそれまでの8000億円から、足元は3000億円と半額以下になっている。だが、イールドカーブはフラットニング。超長期金利のスティープ化を期待する黒田総裁の意には沿わない結果となっている。

オペ減額がなければもっとフラットニングした可能性もあるとはいえ、「投資家によるプラス金利の債券を求める動きや、世界的なリスクオフといった大きな流れを変えるほどの力はない」と、パインブリッジ・インベストメンツの債券運用部長、松川忠氏は指摘する。

<オーバーシュート型コミットによる「縛り」>

10日の市場では「オペを減額すればするほど、減額余地がなくなると受け止められ、むしろ金利低下材料になってしまっている」(国内証券)との指摘が出ていた。そう市場にみられてしまう要因の一つは、日銀が掲げる「オーバーシュート型コミットメント」にある。

日銀は現在、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(MB)の拡大方針を継続するという、オーバーシュート型コミットメントを掲げている。買い入れオペを減額しすぎるとMB拡大が維持できない、つまりオペはそれほど減額できない、と市場に「足元をみられてしまっている」のだ。

野村証券のシニア金利ストラテジスト、中島武信氏による試算では、日銀の保有する国債の償還によって、2020年末頃から、日銀が保有する国債の前年同月比での増加額は、足元の15兆円から2兆円前後まで縮小する。

1回あたりのオペ減額の影響は小さくない。例えば「10年超」の国債買い入れは現在、月2回、年24回行っている。1回あたりを半分に減らすと、年間では1兆8000億円の減額になる。月4回行っている「5年超10年以下」では、1回あたり400億円減らすだけで年間では1兆9200億円の減額になってしまう。

マネタリーベースには、短期国債や上場投資信託(ETF)も入るためMBの増加ペースはマイナスにはなりにくいとはいえ、金融緩和のメインのターゲットである国債買い入れが前年比マイナスになれば、日銀がコミットする金融緩和環境に対するマーケットの「印象」が変わる可能性もある。

<「次の手段」も容易ではない>

今後、日銀が取り得る手段は何か──。「10年超25年」は1000億円程度への減額もあり得るが、市場が想定する手段の一つはオペの「スキップ」だ。

恒常的な減額になってしまう1回あたりの買い入れ額の減額ではなく、予定していたオペを見送る(スキップする)ことで、金利上昇方向の刺激を与えることができる。

日銀が毎月末に公表する翌月のオペ方針では、昨年10月に「25年超」のオファーレンジの下限がゼロに変更された。また買入頻度についての記述は、必要に応じて買い入れの回数を「増やす」から「変更する」に修正されており、どの年限でもスキップの可能性があると市場ではみられている。

しかし、「スキップ」も効果があるのは、せいぜい初回だけかもしれない。市場では「初回はさすがにサプライズとなるが、慣れてしまえば効果は薄れる。スキップも、何度もできないからだ」(別の国内証券)との見方が多い。

超長期債を減らす一方で、中期債オペを増額させる手段もある。しかし、今月7日の「1年超3年以下」対象のオペでは応札倍率が1.17倍まで低下し、過去最低を更新した。中期債オペのオファー額を増額すると、応札額が買い入れ予定額に届かない「札割れ」を起こすリスクがある。

「日銀は、イールドカーブのコントロールを優先するのか、マネタリーベースといった量の拡大を優先するのか、どちらかを選択するべき時に来ている」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア・マーケットエコノミスト、六車治美氏は指摘する。

オペ減額に対する市場の反応は、日銀が金利と量の「二兎」を追うことが、事実上難しくなってきていることを示していると言えそうだ。

(編集:田中志保)。

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