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原材料高、価格転嫁に不確実性 円安は経済にプラス=日銀展望リポート全文

[東京 19日 ロイター] - 日銀は19日に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート、全文)で、足元の原材料コスト上昇と消費者物価の関係について分析を掲載した。原材料コストの上昇分が消費者向けの販売価格にどの程度転嫁されていくかは不確実性があると指摘した。為替変動が日本経済に与える影響も分析し、円安は全体的にプラスとなることが確認されたとした。

 1月19日、日銀は公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート、全文)に、足元の原材料コスト上昇と消費者物価の関係についての分析を掲載した。写真は都内で2015年5月撮影(2022年 ロイター/Toru Hanai)

日銀は17―18日に開催した金融政策決定会合で展望リポートを議論。2022年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)の政策委員見通しの中央値を、前回の前年度比プラス0.9%からプラス1.1%に引き上げた。物価見通しのリスクバランスは「おおむね上下にバランスしている」とし、2014年10月以降の「下振れリスクの方が大きい」との記述から変更した。

19日に公表した展望リポート全文では、新型コロナウイルス感染症の影響が和らいで人流が回復すれば「価格競争の再開が小売価格の上昇ペースを抑制することも予想される」と指摘。

一方、昨年12月発表の日銀短観で企業の販売価格判断DIが記録的な水準に上昇するなど「このところ、物価上昇に対する企業のセンチメントは高まっている」とし、「値上げに対する消費者サイドの許容度などにも左右されるが、価格転嫁が想定以上に加速し、物価が上振れるリスクも意識しておく必要がある」との見解を示した。

<為替の円安、景気にプラス>

展望リポート全文では、為替変動が日本経済に与える影響も分析した。

「VARモデル」という統計モデルを用い、実質実効為替レートに10%の円安ショックが加わった時に経済への影響を測定したところ、円安に伴って実質GDPが増える傾向がみられた。「統計的に有意にプラスであることが確認できる」という。

もっとも、為替が経済・物価に影響を及ぼす主要な経路は近年変化しているという。主要な輸出企業が生産拠点の海外移管を進めたこともあり、円安による輸出数量の押し上げ効果は低下している。一方、企業が海外事業から獲得する収益や配当等を通じた国内への還流額は増加し、こうした収益の増加が「国内設備投資の押し上げにもつながっている」とした。

物価面では、家電などの輸入浸透度の高まりを背景に為替の影響が出やすくなっている。円安の消費者物価への転嫁は強まっているとみられる。

これらを踏まえ、円安は全体として日本の景気にプラスの影響を及ぼすと考えられるが、為替レートの急変動による悪影響や、業種や事業規模によって影響の方向性や大きさが違うこと、などには留意が必要だとした。

(和田崇彦、杉山健太郎 編集:田中志保、橋本浩)

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