May 30, 2019 / 3:26 AM / 20 days ago

物価上昇の遅れだけで追加緩和「望ましくない」=桜井日銀審議委員

 5月30日、日銀の桜井真審議委員(写真)は、静岡市で講演し、生産性の向上などが物価抑制要因に働いていることや、低金利の長期化による金融システム面の副作用が拡大している中で、物価上昇の遅れだけを問題視して追加緩和に踏み切ることは望ましくないとの見解を表明した。写真は都内で2016年9月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

[静岡市 30日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は30日、静岡市で講演し、生産性の向上などが物価抑制要因に働いていることや、低金利の長期化による金融システム面の副作用が拡大している中で、物価上昇の遅れだけを問題視して追加緩和に踏み切ることは望ましくないとの見解を表明した。

桜井委員は、日銀が大規模緩和を6年余りも続けているにもかかわらず、物価2%目標が達成できていない要因について、1)過去の景気後退時に根付いたデフレマインド、2)賃金上昇圧力の弱さ、3)労働生産性の向上──の3点を挙げた。

特に人手不足が深刻化する中で、企業は労働コストの上昇圧力に対して「労働生産性を高めることで販売価格に転嫁せずに乗り切ろうとしている」と述べた。こうした生産性向上による物価抑制で「金融政策が物価に与える影響が複雑化してきている」といい、経済の構造変化に伴って「物価安定の目標と金融緩和政策との関係も変質しつつある」と指摘した。

「生産性の向上自体はわが国経済にとって悪いことではない」とも述べ、「物価上昇の遅れだけをことさら問題視して追加緩和に踏み切ることは、金融緩和の副作用とのバランスからみても望ましくない」と強調した。

その副作用については、低金利長期化に伴う金融システム面への影響を重視している。

副作用が顕在化する経路として、金融機関の利ざや縮小によって「リスクテイクに見合った収益を確保できず、継続的に自己資本比率に下押し圧力がかかる」ことや、リスクテイクの拡大が景気後退局面で不良資産化するケースなどを指摘した。

企業部門が資金余剰状態にある中で金融機関が貸し出しを増やしていることは「競争激化による貸出利ざやの低下と、借入企業のレバレッジ比率の高まりの双方を示唆しており、注視が必要」と指摘。金融機関の自己資本比率が低下トレンドをたどっていることにも「留意が必要」と警戒感を示した。

桜井委員は日本経済について「緩やかな拡大基調を維持しているが、先行きの不確実性は高い」とし、景気の先行きを左右する要因に、中国を中心とした海外経済の動向と10月に予定されている消費税率の引き上げの影響を挙げた。

このうち消費増税の影響については、政府による需要平準化策などで「景気へのインパクトは限定的と思われる」としながらも、「仮に10月時点で海外経済が減速を続けている場合、わが国経済を下押しする影響が大きくなる可能性がある」と語った。

伊藤純夫 編集:青山敦子

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