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大企業製造業の業況判断DI、4四半期連続で改善=9月日銀短観

[東京 2日 ロイター] - 日銀が2日発表した9月全国企業短期経済観測調査(短観)よると、大企業・製造業の業況判断DI(良い─悪い)が4四半期連続で改善するなど、好調な外需がけん引するかたちで企業の景況感の改善が続いている。ただ、中小企業を中心に人手不足感がさらに強まっており、先行きに慎重な見方もある。

 10月2日、日銀が2日発表した9月全国企業短期経済観測調査(短観)よると、大企業・製造業の業況判断DI(良い─悪い)が4四半期連続で改善するなど、好調な外需がけん引するかたちで企業の景況感の改善が続いている。写真は都内の日銀本店、2015年5月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

業況判断DIは大企業・製造業がプラス22となり、前回の6月調査から5ポイント改善した。2007年9月調査のプラス23以来となる10年ぶりの高水準で、改善は4四半期連続。中小企業・製造業もプラス10と3ポイント改善し、5四半期連続で改善した。それぞれロイターの事前予測ではプラス18、プラス8が見込まれていたが、結果はこれを上回った。

業種別にみると、生産用機械や業務用機械、電気機械などが2桁を超える改善を示しており、日銀によると、企業からはスマートフォン部品など情報関連の設備投資や、自動車関連の需要が堅調との指摘が聞かれている。

大企業・製造業の海外における製商品の需給判断DI(需要超過─供給超過)は2ポイント改善のゼロと供給超過から脱出。売上高計画をみても、17年度は国内が前年比2.9%増と前回調査から横ばいだったのに対し、輸出は同2.2%増と1.0ポイントの上方修正。外需がけん引するかたちとなっている。

一方、非製造業の業況判断DIは大企業がプラス23と前回から横ばい、中小企業がプラス8と1ポイント改善した。

資源価格の安定を背景に卸売や電気・ガスなどの景況感が改善したものの、小売や宿泊・飲食サービスは悪化。これら企業からは訪日外国人によるインバウンドは引き続き好調なものの、天候を悪化要因に挙げる先があった、という。

先行きは、大企業、中小企業の製造業、非製造業ともに悪化を見込んでいる。今回の短観でも雇用人員判断DI(過剰─不足)が軒並み不足超過方向の動きとなり、中小企業を中心に労働需給は一段と逼迫している。こうした人手不足感の強まりや、北朝鮮情勢をはじめとした地政学リスクなどが懸念材料とみられる。

事業計画は17年度の売上高計画が全規模・全産業で前年比2.2%増、経常利益計画が同1.0%減と増収・減益が見込まれている。もっとも、製造業の経常利益計画は同3.2%増と増益に転じており、大企業・製造業の売上高経常利益率は同7.47%と過去最高水準に達している。

17年度の設備投資計画は大企業・全産業で0.3ポイント下方修正の同7.7%増となり、ロイターの事前予測と一致した。製造業が1.2ポイント下方修正の同14.1%増、非製造業が0.3ポイント上方修正の同4.0%増となり、いずれも2000年度以降の平均を上回る水準だ。

今回の短観について大和証券・チーフエコノミストの永井靖敏氏は「強い結果だ。特に、雇用の逼迫感が長期化し、先行きもその度合いが高まっている。サービス業を中心に、先行きの賃金上昇に期待が持てそうだ」とし、「日銀としても、物価目標2%の達成に期待をつなぐ内容だろう」とみている。

*内容を追加しました。

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