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日銀決定会合:識者はこうみる

[東京 17日 ロイター] - 日銀は16─17日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決めた。リスク要因として、金融・為替市場の動向やその経済・物価への影響を「十分注視する必要がある」と異例の言及を行う一方、10年物国債金利0.25%での指し値オペを原則毎営業日実施すると改めて表明した。市場関係者の見方は以下の通り。

 日銀は16─17日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決めた。写真は日銀の建物。都内で2016年11月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

●海外勢の見方は徐々に修正か

<三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト 市川雅浩氏>

結果は大方の予想通りで、一部には変更予想もあったようだが政策据え置きとなった。外為市場では円安が進んでいるが、緩和を続けるということが確認できたので、これは自然な反応だ。日経平均は先物で若干の買い戻しが入っている。

国内勢はほとんどが政策変更はないだろうという見方だった。海外勢に関しては、今回の結果と、従来通りの立場を繰り返すと思われる黒田総裁の記者会見での発言で、緩和巻き戻しという見方は徐々に修正されていくのではないか。

●来月も現状維持か

<大和総研 エコノミスト 久後翔太郎氏>

現状維持を予想していたので想定通りだ。為替に配慮した金融政策修正を行うのではとみる向きもあったが、それに対してある種のノーを突きつけた。金融政策としては、もちろん為替の安定は物価安定目標には重要であるが、そこに主眼を置いた政策は取らないというメッセージが示された。

イールドカーブ・コントロール(YCC)の許容レンジ上限である10年金利0.25%を上回る動きが足元で出ているが、日銀は今回メッセージを出すことで、アナウンスメント効果として今の連続指し値オペで0.25%を維持するという方針を明確に打ち出した。日銀が、アナウンスメント効果と今後の買い入れによって0.25%の上限を維持できると踏んでいるとも解釈できる。

0.25%を超える動きが出てきたのは「日銀の政策が転換されるのでは」という思惑に対する債券の売り圧力という面が強かった。まずは政策を維持することによってそういった思惑を払拭した。同じ文章を出すだけでもそうしたメッセージにつながる。

来月も現状維持が続くと見ている。為替圧力や債券圧力は確かに出てきたが、「修正しない」というメッセージ出すことによるアナウンスメントの効果によって抑えることができると日銀自身が思っているのだろう。しばらくは金融市場に大きな変動がない限りにおいては現状維持が続くのではないか。

●政策変更の観測後退、株価にポジティブ

<りそなアセットマネジメント 運用戦略部チーフ・ストラテジスト 黒瀬浩一氏>

スイス中銀が利上げに動いたことで、株式市場では日銀も量的緩和は続けられないのではないかとの観測が浮上していたが、それがなかったこと自体はポジティブと言えるだろう。ただ、新たなマイナス要因が減っただけとも言え、これをもって積極的に株を買うという材料にはなりにくい。

日本株は基本的に米株との相関が維持されており、それを左右するのは米インフレと連邦準備理事会(FRB)の金融政策というのは変わらない。利上げの着地点が見え、景気の腰折れの心配がなくなれば米株は再び上に向かうだろう。ただ、それが確認されるまでには数カ月はかかるのではないか。

●声明文で円安・金利上昇をけん制

<ニッセイ基礎研究所 上席エコノミスト 上野剛志氏>

声明文のリスク要因に「金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響について十分注視する必要がある」との文言が追加され、足元の円安進行や金利上昇をけん制した。金利上昇については、日銀はオペで抑え込むことは可能であるものの、円安進行を止めるために利上げしか手段がないことから、口先介入の意味合いが強い。

全体としては市場の予想通り。長期金利の許容幅を拡大するのではないかという市場の思惑はあったものの、仮に拡大してしまうと、今後催促相場になりやすい。日銀は徹底して対抗するという意思の表れだろう。黒田総裁の会見でも為替や金融市場の不安定な動きに対してメッセージが発信されると見ている。

海外中銀との金融政策の違いが鮮明となり、日銀の金融緩和が意識されればされるほど、円安は進みやすい。円安に関しては日銀の苦悩が続くとみられ、口先介入をしながら、ドル高圧力や原油高圧力が和らぐのを待つという状況が続くだろう。

日銀の金融政策決定会合で現状の政策維持の決定を受けて一時的に円安に振れた。しかしその後、円安のデメリットが目立ってきたら日銀は政策を修正するとの思惑から円買いにつながった可能性がある。

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