September 21, 2016 / 5:41 AM / 4 years ago

日銀、金融政策の枠組み変更決定:識者はこうみる

[東京 21日 ロイター] - 日銀は20─21日の金融政策決定会合で、金融政策の総括的検証を踏まえ、当座預金の一部に付与している0.1%のマイナス金利を据え置く一方で、国債買い入れでイールドカーブ(利回り曲線)の形状を意識した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入する。

 9月21日、日銀は20─21日の金融政策決定会合で、金融政策の総括的検証を踏まえ、当座預金の一部に付与している0.1%のマイナス金利を据え置く一方で、国債買い入れでイールドカーブ(利回り曲線)の形状を意識した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入する。写真は日銀本店。2013年5月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

市場関係者のコメントは以下の通り。

利回り曲線操作、持続的な円安につながらず

<三菱東京UFJ銀行 グローバルマーケットリサーチ・チーフアナリスト 内田稔氏>

今回は金融政策の呼称を「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に変更した。単に金利を下げるのではなく、長期金利を上げるという。マイナス金利導入から、わずか半年での方針の大転換とも言えよう。

ひとまず初期反応は円安方向だが、これは長期金利がやや上がったことによって銀行株も上昇するなど、これまでのマイナス金利の副作用が和ぐことへの期待だろう。

ただ、マイナス金利はどこまでも深掘りできるわけではなく、青天井の緩和拡大余地は期待できない。加えて、国債は10年金利がゼロ%になるよう買い入れ額を減らすことになる上、平均残存期間も年限基準が撤廃され短縮化することから、緩和姿勢の後退と受け止められなくもない。こうして見ると、持続的な円安につながる話ではないだろう。

目先1カ月のドル/円は98─104円のレンジで見ている。米国の利上げの先行き次第の面があるが、経済指標で米景気の強さを確認していく必要があるし、大統領選挙も近い。年内利上げに向けた盛り上がりは出にくい。日米金融政策に材料出尽くし感が生じることで、バイアスは下方向だろう。

一時的なリスクオン、日経平均1万7000円トライも

<三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏>

マイナス金利の深掘りが見送られた。また今回取り入れられたイールドカーブ・コントロールは、利回りの傾きをスティープ化させることを主眼に置いた内容。さらに2%の物価安定目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するとしている。いわばフォワードガイダンスの強化となる。イールドカーブを見ると、ほぼスティープ化したまま上昇シフトしている。これを受け、銀行・保険株が上昇し、全体相場をけん引している。

まずは一時的な反応として、ややリスクオン的なムードにもなっている。だが、今後、日銀のオペレーションが上手く機能するかどうかを含め、イールドカーブを本当にコントロールできるか見極めなければならない。

大きな波乱がなかったのは評価できるが、日本株はレンジの上限にも来ている。またFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ見送りとなれば、ドル安/円高方向にも振れやすい。もっとも、米国株が崩れなければ、日本株は引き続きしっかりとした動きが見込まれる。日銀のオペレーションに大きな混乱がなければ、日経平均は1万7000円を再度試しに行く可能性もある。   

米利上げ見送りならドル100.50―103.50円レンジに

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

日銀決定会合の結果を受けて、ドル/円は102円半ばまで買い進まれた。

具体的に短期筋が何をはやしてここまでドル/円を買い上げたのか不明だが、タイミング的には、今回は追加緩和を見送る一方で、一拍ためて、今後の追加緩和に期待を残したことが奏功し、ドル買い/円売りになったのかもしれない。

きょう米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを見送ったと仮定して、今後しばらくのドル/円のレンジは100.50―103.50円とみている。103円台はかなり上値が重い印象だ。

オペの状況が流動的に

<岡三証券 債券シニアストラテジスト 鈴木誠氏>

2%の物価目標の達成に向けて、しばらくは金利を低位に抑えつける政策を続けることになるだろう。ただ、マイナス金利幅の深掘りがなかった分だけ、目先は金利が下がりづらくなっているようだ。

国債買い入れオペの状況が流動的になってくると思われる。日銀の意図が入ってくることで、長いゾーンの金利もコントロールしていくことが可能か注目される。

現状のイールドカーブの水準をできるだけ長期的に固定させて、金利を上昇させない作業をする一方で、極端には下げないことも行っていくのだろう。

「10年金利がゼロ%になるよう国債買い入れを行う」ということで、プラス水準を売る必要はない感じがする。10年金利はゼロ%近辺からマイナスゾーン中心で推移するのではないか。となれば、超長期ゾーンの金利は基本的に0.4%─0.5%程度になると思われるため、現状のイールドカーブの水準からなるべく上振れさせないようにするということだろう。

年内緩和の思惑残りドル/円上昇

<みずほ証券 チーフFXストラテジスト 鈴木健吾氏>

ドル/円の初期反応はドル売り/円買いとなった。10年金利がゼロ%になるよう国債を買い入れる方針などが示されたが、為替にとっては緩和とはとらえにくいと受け止めた向きが反応し、瞬間的に売られたのだろう。

ただ、そのほかにも、いろいろな工夫をこらす姿勢がにじんでいる。マイナス金利は温存され、展望リポートと同じタイミングで追加緩和が打ち出される可能性が残ったことなどがあらためて評価され、ドル買い/円安方向に反発したのだろう。

目先1カ月のレンジは100─105円とみている。これまで一方的な円買いが目立ったが、年内緩和の可能性が残ったことで、ポジション調整の円売りが誘発される可能性も出てきた。

実効性が問われる政策メニュー

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

今回の決定会合では、一定の効果があると検証したマネタリーベースの拡大でインフレ目標2%を出来るだけ早期に実現することがポイントだと考えられる。ただし、具体的な方法は明示されていない。

ドル/円相場は、今回の決定を緩和強化と受け止め、102円台への円安が進行したが、上昇幅は相対的に小幅に留まっている。日経平均は前日比で一時300円を超える上げ幅となった。ただ、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、基本的に利上げ見送りを想定しているため、足元の円安・株高の動きを弱めるものと考えられる。

JGBについては、イールドカーブ・コントロールを新たな枠組みの中心に据えた。しかし、人為的な金利形成には限界があり、スティープ化したカーブを見て、市場参加者や国民がインフレ期待を醸成させるかどうかは定かではない。

金融政策と金融市場の関係については、短期的な反応はともかく、金融市場が立脚する経済の構造的な変化を考慮すべきだろう。不安定さを増す市場の背景には、リーマンショック以降に日米欧が導入した量的緩和(QE)バブルが崩壊し始めたことがある。

このような環境の下で、市場が、政策の意図する方向に安定的に動くことは担保さ

れないうえ、金融政策にできることには限界があるとの認識は、市場のみならずG20等でも共有されている。

明日のFOMCの決定については、利上げであれば株売り、利上げ見送りでも実体経済の弱さが着目され、株売りとなる公算が大きい。

世界の金利形成の基準となる米国長期金利、そして世界経済のパイの縮小を反映して価格形成される原油相場は、再び低下、下落基調となることが見込まれる。

*内容を追加します。

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