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コラム

コラム:来年は債券復活か、足並みそろった投資家の見方

[ロンドン 25日 ロイター] - 新年に向けた投資アドバイスというのは非常にあいまいな内容でそれに従えば失敗しがちだが、「2023年は債券へ回帰せよ」との助言ほど明確にコンセンサスが形成される事態は珍しい。

 新年に向けた投資アドバイスというのは非常にあいまいな内容でそれに従えば失敗しがちだが、「2023年は債券へ回帰せよ」との助言ほど明確にコンセンサスが形成される事態は珍しい。写真はイメージ。7月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

今年はどの尺度で考えても、債券にとってひどい1年になった。株安による損失をカバーできなかった上に、中央銀行がエネルギー危機を背景とする急速なインフレ抑制のために利上げを進めた結果、債券自体のパフォーマンスも歴史上最悪クラスに落ち込んだ。

ある程度長い目で見ると、各種債券指数や債券上場投資信託(ETF)の値動きは数十年ぶりの低調さだったと言える。だがより安全なソブリン債に関して、今年ほど悲惨な状況を探すには何世紀も前にさかのぼらなければならない。

米国の場合、短期国債のリターンこそマイナス10%弱にとどまったが、バンク・オブ・アメリカのデータに基づくと、10年国債の年間リターンは10月末までのペースであればマイナス23%と、1788年と米国独立直後の混乱期以来の悪い成績を記録する。

さらに米国債の2年連続マイナスリターンは1959年以降で初めてとなる。

では、23年は3年連続のマイナスを必ず避けられるのか。

来年の運用方針を定めつつある機関投資家によると、どうやらそのようだ。彼らの多くは、10月に利回りが4%を超えた米10年国債と30年国債を好ましい投資先とみなしている。

これらの投資家は向こう1年でインフレが鈍化し、景気後退(リセッション)が到来、中銀の利上げは打ち止めになり、ドル高局面も終わるので、債券は元気を取り戻して株式と債券を6対4で運用するモデルが再び有効になると想定。アクサIM資産運用研究所を率いるクリス・アイゴー氏は「23年は債券の年になる」と言い切り、アムンディのビンセント・モルティエ最高投資責任者も「債券が復活する」とみる。

ソシエテ・ジェネラル(ソジェン)のグローバル資産配分チームは既に9月からマルチ資産ポートフォリオにおける債券の比率を高めており、来年はさらなる比率引き上げが妥当であるとともに、質の高いクレジット商品や投資適格債をより多く組み入れた。

<近づく転換点>

こうした資産運用業界に広がる強気見通しは、足の速い資金の多くがまだ債券に対して弱気のポジションを構築している状況とは矛盾するように思われる。

米商品先物取引委員会(CFTC)の直近データを見ると、投機的なヘッジファンドは引き続き米2年国債と10年国債の先物の大規模な売り持ちを抱え、2年国債の売り持ち規模は過去最大に達した。

バンク・オブ・アメリカが今月公表した機関投資家調査でも、全体の約20%が債券をアンダーウエートにしている。

それでもこの調査からは、リセッションと物価上昇の鈍化予想を背景に投資家の姿勢転換が近づいている様子もうかがえる。向こう1年で長期債利回りが低下すると見込んだ割合は、調査開始以降初めて利回り上昇予想の割合を上回った。

また経済の落ち込みとディスインフレは債券にとって好材料だが、企業収益が大打撃を受ける展開を警戒している株式には朗報とは言えず、23年の株式市場は債券よりずっと不透明で、荒っぽくなるとみられている。

実際ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーはいずれも株式の弱気相場終了を見込んでいないし、両社が想定する来年末の株価は現在とほぼ同水準だ。

アクサのアイゴー氏は、リスクとリターンの見合い状況は株式より債券の方がずっと良好だと主張。「指数レベルでは、デュレーションと信用リスクの単位当たり利回りは過去数年を上回っている。利回り上昇は価格下落を意味しており、この先利回りが低下しなくとも債券保有者は力強い『プル・トゥ・パー(満期に向かって着実に価格が額面へ戻っていくこと)』の恩恵を受けられる」と述べた。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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