[サンパウロ 25日 ロイター] - ブラジル地理統計院(IBGE)が25日発表した5月中旬の消費者物価指数の前年比上昇率は4.07%で、前月の4.16%から鈍化して、2020年10月以来2年7カ月ぶりの低い伸びとなった。市場は4.20%に加速すると予想していた。
想定外の物価下振れを受け、中央銀行に対するルラ政権の利下げ圧力が強まる公算が大きい。
ルラ大統領はかねてより、現在13.75%と6年ぶりの高水準にある政策金利は高過ぎて経済成長の妨げになっていると主張し、中銀に利下げを促している。
ある市場関係者は今回の物価データについて、インフレの最悪期が過去の話となり、中銀は8月の会合で利下げを始めるかもしれないという自身の見方を一段と裏付けてくれたと話した。
ただ中銀のロベルト・カンポス・ネト総裁は、コア消費者物価の伸びがなお高く、長期的な予想物価上昇率も4%前後からなかなか下がらない点を理由に、利下げを拒んでいる。
総裁は25日、ブラジルにおけるディスインフレのプロセスは継続中であり、物価上昇率を目標に戻すことが大事だと繰り返した。
物価上昇率の目標は今年3.25%に設定されており、来年は3%に引き下げられる見通し。
中銀の民間エコノミスト調査によると、年末の物価上昇率は5.8%、来年末は4.13%と見込まれている。
キャピタル・エコノミクスのチーフ新興国市場エコノミスト、ウィリアム・ジャクソン氏は「政策担当者が利下げを検討するには、コア物価上昇率と予想物価が減速しつつあるというより確かな証拠を目にする必要があるだろう」と述べた。
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