[サンパウロ/ブラジリア 18日 ロイター] - ブラジルは今年、25年ぶりの深刻な経済の落ち込みに見舞われた。だが、主要企業の設備投資計画から判断すると、来年はさらに事態が悪化しそうだ。
小売り、建設、鉄鋼、自動車、石油といったセクターの大手企業は、国内景気が早期回復するとの希望を捨て、来年の設備投資予算を削っている。削減率を見ると鉱業のヴァーレVALE5.SAは25%、国営石油のペトロブラスPETR4.SAは20%に上り、小売最大手GPAPCAR4.SAに至っては最大40%減らして投資額は7年ぶりの低水準になる見通しだ。
電力のエレトロブラスELET6.SAや多額の債務を抱える通信のオイOIBR3.SAはまだ投資計画を発表していないが、これらの企業も大幅に投資を減らすことを示唆する材料は増えつつある。
政策金利は現在14%で今も上昇中。このため民間セクターは多くの投資案件で資金を調達するのが困難になっている。かつては企業投資の背中を押す重要な役割を果たしてきた財政支出も急速に縮小してしまった。
先週にはフィッチがブラジルの格付けを引き下げ、これで同国を投資適格未満とする格付け会社が2社となったことで、海外投資家の資金流出が加速し、国内での借り入れコストが上昇してしまうだろう。
ただ新規投資にとって最大の妨げは、ブラジル国民自身が景気回復実現への自信を失っていることだ。
ブラジル機械工業協会(ABIMAQ)のディレクター、マリオ・ベルナルディーニ氏は「来年の見通しは惨憺たるものだ。現在のような景気後退下では、企業は手元現金を守ろうとし続ける」と話した。
実際、ブラジルの企業設備投資は9四半期連続で減少しており、エコノミストの間では来年もさらに6─12%落ち込むとの予想が広がっている。
ロイターの計算ではこれは金額にして600億─1300億レアル(170億─340億ドル)、対国内総生産(GDP)比では1─2%前後に相当する。
ここ数週間で主要企業がさらに設備投資予算を減らしたため、来年の経済成長率見通しを下方修正するエコノミストも増えており、来年は今年見込み並みのマイナス3%になるとの見方も多い。
(Brad Haynes、Silvio Cascione記者)
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