July 10, 2014 / 6:00 AM / 5 years ago

ブラジルはW杯大敗で威信に傷、広がる沈滞ムード

[サンパウロ 9日 ロイター] - サッカーの2014年ワールドカップ(W杯)準決勝における開催国ブラジルの対ドイツ戦での大敗は、スポーツ史上で最も衝撃的な事件の1つだが、ことはそれにとどまらない。ブラジルは威信が大きく傷つき、夢も砕け散った。

 7月9日、サッカーの2014年W杯準決勝における開催国ブラジルの対ドイツ戦での大敗は、スポーツ史上で最も衝撃的な事件の1つだが、ことはそれにとどまらない。写真はW杯のイベントでのルセフ大統領。6月撮影(2014年 ロイター/Joedson Alves)

W杯はブラジルがサッカーだけでなく経済的にも地理的にも大国であることを世界に知らしめる機会になるはずだった。光り輝くスタジアムやサンパウロ─リオデジャネイロを結ぶ高速鉄道などが、左派的ながら市場に優しい「ブラジル流」の政策を世界に広め、他の中南米諸国やアフリカ諸国の新たな模範となり、もちろんサッカーでも記録となるW杯6度目の優勝を手に入れると夢想したのだ。

実際にはブラジル経済は高インフレで3年にわたり停滞し、回復の兆しは見えない。他の中南米諸国がブラジルの困難を目にして企業寄りのより積極的な改革路線を採ったため、外交面の影響力も低下した。

W杯自体もスタジアムへの過剰な支出、未完成のインフラプロジェクト、建設現場の事故による十数人の死者など困難に見舞われた。最近もW杯会場近くの高架が崩落して2人が死亡したばかりだ。

すべてが悪いニュースというわけではない。W杯では記憶に残る好ゲームが繰り広げられ、ブラジル国民は開催国として心のこもったもてなしぶりが世界的に賞賛を集めた。心配された大規模な抗議行動や物流の障害も起きていない。

しかしブラジルではサッカーは単なるゲームではない。国民のアイデンティティーの中心部分を成し、良きにつけ悪しきにつけ試合結果はサッカー以外の分野での強さや弱さを反映しているとみなされてきた。

だからドイツ戦での大敗でW杯そのものや開催国として110億ドルを投じたことに対する国民の見方が大きく変わり、国全体が沈滞ムードに覆われるだろう。9日のエスタド・ジ・サンパウロ紙は「今回の敗北は、当意即妙を旨とするわれわれの文化に疑問を投げかけた」と伝えた。

ブラジルの大敗は、ウォール街にまで反響をもたらした。アナリストらは、国民の気持ちが沈んだことがブラジル経済にとってさらなる打撃になるか、あるいはルセフ大統領が10月の選挙で再選する可能性はどうなるかといった問題で相次いでリポートを公表した。

その中で比較的冷静な向きは、W杯を受けた経済の落ち込みがあったとしてもごく短期的なものになりそうで、ルセフ大統領への痛手が続くリスクは乏しいとみている。

それでも当面、ほかに関心を向けられる材料が存在しない以上、悲観論が一段と強まる恐れもある。

あるブラジル国民は「これから何を楽しみしていいかがわからない。W杯はわれわれに幸せをくれたと思う。W杯のことを通勤途中のバスの中でも毎日考えていた。けれど今は何があるのでしょう」と話した。

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