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コラム

コラム:習主席が所得再配分に本腰、始まりは富裕層へのムチ

[香港 18日 ロイター Breakingviews] - 中国の習近平国家主席が、富の再配分計画の具体化に乗り出した。17日の共産党中央財経委員会で示した声明によると、習氏は「不当な所得」を抑制し、賃金を引き上げ、中所得層を拡大したい意向だ。

中国の習近平国家主席が、富の再配分計画の具体化に乗り出した。写真は北京で2019年5月撮影(2021年 ロイター/Jason Lee)

この声明からは、習氏が最近、富裕な企業人を厳しく取り扱っている理由の一端が分かる。企業は今後、中所得層への財政移転と社会保障への貢献を求められ、新たな荷物を背負う可能性がある。延び延びになっていた不動産税も、ついに導入されるかもしれない。 

クレディ・スイスの報告書によると、中国では最も富裕な1%の人々が国全体の富の31%を保有している。20年前はこの割合が21%だった。

零細企業と貧しい労働者を最も痛めつけたパンデミックによって、格差はさらに拡大。一方で金融資産の価格は上昇したため、新たに超富裕層に加わった人の数は2019年に比べて50%も増えた。

習主席にとって、富裕層の富を少なくすることはわけもない。当局と国営メディアが電子商取引大手やビデオゲーム、個人学習指導、不動産開発などの企業を厳しく叩いたことで、中国の上場企業の株式時価総額は2月時点から1兆ドルも吹き飛んだ。

しかし、消費よりも投資による成長に適した中国の制度において、一般の人々の可処分所得を増やすのはもっと難しいだろう。都市部住民の可処分所得は昨年1%しか増えていない。新たな財政移転や社会保障の拡充が必要になり、おそらく企業と富裕層がそれを支えるために駆り出されそうだ。

インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の馬化騰(ポニー・マー最高経営責任者(CEO)から食品出前会社、美団の創業者、王興(ワン・シン)氏に至るまで、大企業トップは既に慈善活動を強化している。

だからといって政府が、インターネット企業の税率引き上げを踏みとどまることはなさそうだ。長期間にわたり優遇税率の10%が維持されてきたが、それが法人税率の標準である25%に引き上げられるだろう。

最大の変更は、論議の的となって導入が遅れていた不動産税の実施かもしれない。北京師範大学の所得配分専門家、リー・シー氏によると、不動産は中国の所得格差に70%寄与している。習国家主席は不動産価格を鎮静化させる取り組みを行っているが、なかなか弾みが付いていない。

不動産税の導入は、3つの利点をもたらし得る。1)一般の人々にとって不動産保有を金銭的に手が届きにくい状況にしている投機の抑制、2)空室のアパートを賃貸市場に回す、3)主にアパート保有によって富を得ている人々の納税を引き出せる――の3点だ。

一方で、直接、間接に国内総生産(GDP)の4分の1を占める不動産業界をたたきのめしてしまう恐れもある。とはいえ、現時点で投資家が習氏の決意に逆らおうとするのは賢明ではない。

●背景となるニュース

*習近平国家主席は17日、共産党中央財経委員会で「共同富裕」の重要性を強調した。政府は中所得層の規模を拡大し、低所得層の賃金を引き上げ、高所得層の所得を「適切に」規制し、違法な所得を禁じる狙いだ。

*財経委員会の要綱によると、政府は税制、社会保障、財政移転に修正を加え、人々がより良い教育を受けて社会的地位を向上させられるよう、より平等で公正な環境を作り出していく。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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