January 24, 2020 / 6:47 AM / a month ago

コラム:ウィーワークで失敗、孫氏の次なる問題はスプリント合併

[ロンドン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] -

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長はキャッシュを消耗した共有オフィス運営ウィーワークを巡る問題から一息ついたばかりなのに、今度は傘下の米携帯電話大手スプリントという頭痛の種に直面している。写真は決算発表で会見する孫会長。2015年5月、東京で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義会長兼社長はキャッシュを消耗した共有オフィス運営ウィーワークを巡る問題から一息ついたばかりなのに、今度は傘下の米携帯電話大手スプリント(S.N)という頭痛の種に直面している。

ソフトバンクはスプリントの84%株式を保有しており、孫氏はこの持ち分を290億ドルと見積もっている。しかし、同業大手TモバイルUSとの合併計画を巡り、スプリントの株式評価額はまもなく大幅な引き下げを強いられそうなのだ。

投資家向けの説明や、ソフトバンクのウェブサイトに掲載されている「株主価値」の説明によると、孫氏は2018年4月のTモバイルUS(TMUS.O)とスプリントの合併合意に基づいてスプリントの企業価値を計算。合意の合併比率はスプリント株1株に対しTモバイル株0.1株強で、米連邦当局は合併計画を承認した。しかしニューヨーク州などが計画の差し止めを求める訴訟を起こし、判決がまもなく出る可能性がある。

この裁判が最初に広がる暗雲だ。合併計画が頓挫すればスプリントは存続が危うくなりかねない。リフィニティブの推計の中央値によると、スプリントの現金燃焼は今会計年度に11億ドルに達する見通しで、債務は300億ドル余りに上る。Tモバイルとの合併はスプリントにとって債務を返済できる唯一の確実な手段だろう。孫氏はウィーワーク投資の失敗後、ソフトバンク自体が企業の資金救済に動くことはもうないと約束しているだけになおさらだ。

さらに、合併が最終的に認められても、合併計画でのスプリントの企業価値が下方修正される公算は大きい。当初の計画案は既に消えているが、それによるとTモバイル事業が現状のまま続くとの想定に基づき、スプリントの企業価値を590億ドル、過去1年間のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の5.2倍と見積っていた。

しかし、スプリントはライバルに顧客を奪われ、EBITDAは低下している。Tモバイルは合併合意以降、業績が好調で株価は上昇しているため、仮に当初計画案と同じ条件で計算するとスプリントの企業価値は690億ドル、過去1年間のEBITDAの6倍と見なされることになってしまう。

このためTモバイルは合併条件を見直してスプリント株1株に割り当てる自社株を減らすか、ソフトバンクに追加的な現金の支払いを求めてくる可能性がある。

Tモバイルが強い態度に出すぎれば合併計画自体が壊れるリスクもある。しかしスプリントとしては絶対に計画をまとめる必要があるため、Tモバイルは優位な立場にある。EBITDAに基づく条件を見直すと、ソフトバンクが保有するスプリント株評価額は290億ドルではなく、210億ドルになってしまう。

孫氏に残る最良の選択肢は、企業価値を下げて合併計画が実現することかもしれない。そうなると、ソフトバンクも損失処理を迫られる可能性がある。言い換えれば、どんな希望にも暗雲はついて回るのだ。

●背景となるニュース

*ニューヨーク州などが米携帯電話大手TモバイルUSと同業スプリントの合併差し止めを求めて起こした訴訟は15日、最終弁論が行われた。州政府は合併が消費者にとって値上げにつながると主張。両社は積極的な競争で価格を下げると反論した。[nL4N29L0AH]

*連邦地裁のビクター・マレロ判事は、原告にも被告にも質問せず、「できるだけ火急に」判断を下すと述べた。

*スプリントは27日に2019年10―12月期決算を発表する。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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