April 14, 2020 / 1:16 AM / 4 months ago

コラム:FRBのジャンク債購入は妥当か、大きな代償も

[ニューヨーク 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)の政策は、ついに自らの手で社債利回りスプレッドを縮めようとする段階にまで達したようだ。

FRBは企業金融支援のために導入した資産買い入れの枠組み(ファシリティー)を通じて、一部のいわゆる「フォールン・エンジェル(堕天使)」、つまり3月22日以降に投資適格から投機的格付け(ジャンク級)に転落した社債を購入すると発表した。写真は3月27日、ワシントンで撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

FRBは先週、企業金融支援のために導入した資産買い入れの枠組み(ファシリティー)を通じて、一部のいわゆる「フォールン・エンジェル(堕天使)」、つまり3月22日以降に投資適格から投機的格付け(ジャンク級)に転落した社債を購入すると発表した。その後ICEバンク・オブ・アメリカ指数を見ると、長期債の投資適格級で一番下のBBBマイナス社債と、ジャンク級で格付けが最も高い社債の利回りスプレッドは、20%ほど縮小した。

もしも今、だれの目にも明らかな形で信用収縮が起きているなら、堕天使たちへの支援は応急処置としては理にかなっている。S&Pグローバル・レーティングスによると、昨年段階で米国の非金融企業の投資適格級社債のおよそ半分に当たる2兆5000億ドル前後が、BBB格付けを付与されていた。これは非金融企業のジャンク債の2倍を超える規模だ。さらにシティバンクの試算では、年内に最大で3000億ドル相当がジャンク債に転落する恐れがある。新規供給が多過ぎれば、ジャンク債市場はパンクしかねない。

FRBによる堕天使の買い入れは時限措置という想定にもなっている。しかしそれでも正当化できないし、実施期間も適切ではないかもしれない。機関投資家は通常、格下げされた社債をすぐに手放すことはしない。また今年に入って確かにジャンク債の利回りスプレッドは一時3倍に跳ね上がり、新規発行は数週間はゼロだったが、利回り水準は低下し始めた。3月終盤には大手外食チェーンのヤム・ブランズ(YUM.N)が、社債の供給が途絶えた機会をとらえて起債、6億ドルを調達した。市場は機能し続けているということだ。

前回の金融危機の際にも、FRBは緊急措置を短期間で手じまうと表明していたものの、結局そうはならなかった。あの危機で始まった超低金利と債券買い入れが、企業の起債による熱狂的な資金調達を助長し、BBB格社債が大量発生する一因になった。昨年までの10年間に非金融企業の社債はおよそ10兆ドルまで増加し、対国内総生産(GDP)比は金融危機前を超えてしまった。

今回もパウエル議長は、各種ファシリティーを撤回するのが難しいと思うようになるのではないか。2013年のテーパー・タントラム(量的緩和縮小の示唆に伴う市場の動揺)を見ても分かるように、FRBが金融政策を正常化しようとすればいつでも大騒動になってしまう。FRBがこのままジャンク債買い入れを続ければ、利回りスプレッドはどんどん小さくなり、ハイリスク・ハイリターンの投資に対する見返りも乏しくなる。注意深く行動しないと、FRBは最終的にまた、自分が招いた混乱を自分で収めなければならなくなるだろう。

●背景となるニュース

*FRBは9日、プライマリーマーケット・クレジット・ファシリティー(PMCCF)とセカンダリーマーケット・クレジット・ファシリティー(SMCCF)が特別目的事業体を通じて一部の投資適格級未満の社債(ジャンク債)を購入できるようになったと表明した。大手格付け1社からは投資適格を付与されているか、3月22日時点では大手2社から投資適格を付与されていたことが条件。また社債買い入れ段階でも、格付けがBBマイナスか、Ba3相当以上であることも必要となる。

*SNCCFは、主に米高利回り社債に投資している上場投資信託(ETF)も買い入れが可能となる。ただ買い入れ対象の多くは、投資適格社債が資産のほとんどを占めるETFになるとみられる。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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