March 8, 2020 / 12:10 AM / 23 days ago

コラム:新型ウイルスが促す中国の金融再編、弱小銀行に淘汰の波

[香港 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 新型コロナウイルスは、中国の金融システムの「治療」に役立つかもしれない。

 新型コロナウイルスの震源地となった中国は景気刺激策で株価をある程度支えているが、刺激策は銀行のバランスシートには悪影響を及ぼす。写真は3月2日、上海の浦東地区。3月2日撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

感染拡大が経済活動に急ブレーキをかけている今、国営銀行は何が何でも経営難の企業を支えるよう命じられている。体力の弱い銀行は既に沈没寸前で、さらなる救済措置が必要になりそうだ。しっかりとした救済措置を講じる限り、今回の危機は銀行の合従連衡を促すチャンスと言えるかもしれない。

中国の民間セクターは昨年から景気減速に圧迫されていたが、今年初めは一段と厳しさを増しただろう。UBSのエコノミストは、第1・四半期の国内総生産(GDP)が前期比1.5%のマイナス成長になると予想している。

中国政府は今年の成長率目標の6%に固執しているが、これは賢明ではない。中国人民銀行の陳雨露副総裁は最近、中国の公的債務はGDPのわずか56%であり、成長押し上げの選択肢は数多くあるとの見解を示した。数字的にはその通りかもしれないが、中国政府は公的債務の何倍もの債務を保証しなければならなくなる。

2009年のように、単に与信を拡大して済む話でもなければ、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染が拡大した03年のように速やかな需要回復をあてにすることもできない。両年とも中国経済の成長見通しは今より明るく、地政学的上の立ち位置も良好だった。もはやそうではない。

景気刺激策が株価をある程度支えているが、刺激策は銀行のバランスシートには悪影響を及ぼす。筆者の概算によると、つぶれそうな企業を支えることで、不良債権および不良化しつつある債権は1兆ドルを超える恐れがある。

中国では昨年、経営難の銀行が何行も救済された。さらに多くの救済行予備軍が控えているのは間違いない。不良債権隠しで罰金を科されたり、逮捕者を出したりした銀行が、その候補だ。

次の救済劇は、新型ウイルスがまん延した湖北省武漢市から始まりそうだ。武漢市はとりわけ、体力の強い銀行を欠いている。ただ、銀行救済は武漢市にとどまらないだろう。

中国指導部は不良債権削減の必要性を重々承知しており、与信管理の厳格化を指導してきた。不良債権の大半は、世界金融危機の影響を和らげるために実施された景気刺激策の置き土産だ。

しかし、不良債権処理は完了とはほど遠い上に、目下は融資を継続して資金を回転させ続ける必要がある。このため銀行監督当局は厳格化した規則を一部緩和した。銀行に財テク商品をすべてバランスシート上に載せるよう義務付ける措置を延期したのが、その最たるものだ。

同時に銀行業監督管理委員会(銀監会)は、合併や閉鎖を通じた銀行の統合加速を検討するかもしれない。特に標的となるのは資本が不足している、農村部の銀行だ。

米国では08年以来、預金保険の対象となる商業銀行の数が3128行、率にして40%近く減った。銀監会はこれ以上の措置に乗り出すかもしれない。銀監会が監督する金融機関4500のうち、半分以上は零細な地方銀行で、その多くは不良債権比率が2桁台だ。

中国の監督当局は、抜本的な改革の必要性を承知している。資本バッファーの拡充、投機家や縁故者への放漫な貸し付けの抑制、資産運用ポートフォリオにおける債務と資産のマッチング、経営効率の良い民間企業への支援強化などだ。

整理淘汰にはコストがつきものだが、これまでは先送りされてきた。これは地元銀行と癒着した地方政府当局からの抵抗に一因がある。今回の危機は、中央政府がこうした抵抗をはねのけ、必要な措置を敢行する千載一遇のチャンスをもたらしている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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